新夢見ヶ丘学園戦記外伝局地蹂躙戦線

タカシ・セイヒ

蹂躙戦線

第1話犬鳴峠にて

此処は犬鳴山にある犬鳴トンネル、とは云え人々が常用する方ではなく閉鎖されて久しい旧犬鳴トンネルの方である

夢見ヶ丘学園を巡る大規模な戦いである学校大戦スクールウォーズは悪の軍団であるダークアクシズが勝利をし、現在は各地に散らばった夢見ヶ丘生徒イレギュラーハンターの残党狩りを開始スタートしている状況である

「どうだタランチュラス、目的の場所は発見出来たか?」

周囲の探索から帰還して来た生徒せんしに同僚が声をかける、両肩からクモを思わせる八本の蜘蛛足ラウンドマシンガンを生やしたダークアクシズ追跡探査兵であるタランチュラスはバイザー越しに夜の山道(とは云え、彼女達生徒せんしからすれば夜も昼間と変わりはないが)を見つめながら首を横に振る、バイザーの上部分、額に当たる場所には八つの瞳が輝いている

「いや、発見出来なかったな、本当に存在するのか?例の犬鳴村とやらは?」

彼女達が探しているのは都市伝説で有名な犬鳴村である、その探索の為に旧犬鳴トンネルに巣食う怨霊や時折迷い込む浮遊霊をその都度、生徒せんし達の命の源である生命スパークに加工しながら戦力を増強しつつ昼夜問わず探し続けているのである

タランチュラスはセーラー服の汚れを払いながら同僚の褐色の肌をした大型の生徒せんしである(あくまで小型な彼女目線ではあるが)ダークアクシズ殲滅兵ブラックバレルに問いかける、他の生徒せんし達は夢見ヶ丘生徒イレギュラーハンターの残党狩りを行なっているにも拘らず、上司のダークアクシズ独立遊撃兵ナグモの指示は在るのかも分からない犬鳴村の捜索と云う戦闘とは無縁そうな任務である

「そう言うな、この犬鳴山の森林地帯は広い、もしやしたら夢見ヶ丘生徒イレギュラーハンターの残党共が潜んでいる可能性も有る」

一応は筋は通った説明だがそれならばそちらを任務内容にすれば良いものを、既に終戦から一ヶ月が経つが未だ何の成果も上がっていない

「…まあ良い、任務を完遂する為の努力は惜しまんさ」

そう言うと再び夜の犬鳴山の森林にクモを思わせる地面スレスレの低い姿勢で漆黒の夜闇の中に溶けて行く

タランチュラスは別に地位や名誉には興味はない、彼女の望みは強者との命を賭した戦闘行為である、今まで挙げた手柄や成果は部隊チームの直属の上司であるハガの戦果となっている、恐らく部隊チーム隊長リーダーであるナグモも同じで有ろう

上司ハガは手柄を一人占めする為に我々のような出世欲や名誉に拘りのない戦闘狂のみで軍団を固めているからな)

昆虫参謀ハガの地位や名誉への欲望は凄まじい、その出世欲と成果を出す為ならばどんな卑劣非道な手段も取る執着心を見込まれて昆虫師団に推薦スカウトされた経緯を持つ

(まあ、私からすればどうでも良いが、おや?)

犬鳴山の森深くを探索していたタランチュラスの瞳が今までと違う違和感を捉えた、バイザー越しの目には薄っすらと足跡と思しきものが確認出来る、額にある八つの瞳を総動員して辺りを伺う、深い森の中に人が常用している通り道を発見したのだ

「これは、見つけたかな?」

犬鳴村と関係ない可能性はある、しかし常用している道がある以上は誰かがこの道の先に存在しているのは間違いない

「ようやく狩りの時間ハンティングタイムかな?」

ようやく実った成果に満足しながら、待機している同胞達に通信メッセージを送る、目的地発見の可能性有りと…

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