タイトルやキャッチコピーからネガティブなお話しかと思いましたが、教育とは何かや理想の教師とはどういうものかを考えさせてくれる、非常に温かいストーリーでした。
小宮先生は普段はやさしいが、怒ると怖い。
日頃から愛情を注ぐことと同じくらい、きちんと人を叱ることのできる人間です。
悪事(クラスメイトに繰り返しの暴力や暴言)を働いた生徒たちを、容赦なくひっぱたくシーンがあります。
現代だと体罰として問題視されるのでしょう。
しかし、思考を停止して安易に先生の行動を非難したくありません。
先生が叱らなければ、被害にあった子も加害した子も、よりつらい方向に進んだことでしょう。
なお、私は基本的に暴力を肯定していません。
無意味な暴力はただの加害になります。
そして、教育の現場に限らず『無意味な暴力』のほうがこの世には圧倒的に多いです。
私自身も、意味もなく暴力を振るう教師に会ったことがあります。
他人を上手に叱るというのはとても難しいことです。
やり過ぎてはいけないが、足りなくては響かない。
小宮先生はそのバランスをよく理解しており、臆せず人に善悪や社会常識を教えてあげられる人だったのでしょう。
だから、教え子たちをきちんと導くことができた。
何よりも、筆者の方が現在教師という事実が、小宮先生という存在の偉大さを証明しているように思えました。