ぼくのかんがえたさいきょうカードとぼくのかんがえたさいきょうデッキとぼくのかんがえたさいきょうコンボ
「勝者!折節猛火!」
それは仮えるのであれば神域の才能を持った者同士の超次元なバトルだった。
十二使徒は勿論のこと様々なレアカードが飛び交い、衝突しバトルが終わった。きっと神様でも分からない四季咲才賀と折節猛火の真剣勝負、最後の勝敗を分けた物は識者の言葉でもどの言葉に当てはめればいいのかが分からない。
もしかしたら次にバトルをしたのならば四季咲才賀が勝つかもしれない。しかし、しかしだ。このWSRGのこの場に置いては四季咲才賀は折節猛火を凌駕し、勝利した。
「やった……勝った……才賀を、才賀を!」
「才賀くんをホンマに……スゴいな、ホンマ」
猛火が才賀に勝利した事を若葉は喜んだ。
心の何処かで才賀には勝てないんじゃないかと思っていた来福も猛火が才賀を倒して勝利したことを見て素直に称賛した。
「……完敗だ」
「なに言ってんだよ?これから勝ったり負けたりするだろ?」
「!」
才賀は負けたことを偶然だなんだの言葉で片付けない。完敗だと認めたのだが、猛火はこれから勝ったり負けたりを繰り返す関係にあると言い返せば気付いた。どうして自分が負けたのかを。それは自分よりも猛火がスピリットモンスターズと言うゲームを楽しんでいたからだ。そこだけが才賀がスピリットモンスターズにおいて猛火に負けていた事だと気付く。
「ふぅ……次は勝たせてもらうぞ!」
「次も俺が勝つ!」
激闘を制したが戦いはまだまだ続く。
試合を終えた2人は握手をした。試合が終われば握手をする、スピリットモンスターズが紳士淑女のスポーツである証を見せる。
「ところで優勝賞品はどうするつもりなんだ?」
「そうだな……」
『え!?……え〜……いや……え!?……………折節猛火選手、1時間後に決勝戦が行われますが体調面等は問題は無いでしょうか?』
「……なに?」
「俺と才賀のバトルが決勝戦じゃないのか!?」
「そうか、そういう事やったんか!!」
試合を終えた猛火に司会の人が1時間後の試合が出来るかを聞いた。
才賀と猛火は驚いた。自分達の試合が決勝戦じゃないのか?と。そんな中で関係者席で試合を見ていた来福は感じていた違和感がなんだったのかを気付いた。
「なにが?」
「感じ取った違和感の正体や!このWSRG本戦出場者の数、1025人や!」
「……えっと……」
「1025人は2乗でもなければ2でも割られへん数や!このWSRGは総当たり形式やのうてトーナメント形式の大会。正式なトーナメント表が無くて次に誰が戦うか分からんから気付かんかったけど、1025人やったらどうしても1人余ってまう!」
「そういう時は大抵は」
「せや。誰かが1つ試合を多くする。所謂シード枠や……ただこのWSRGは表の称号も裏の実績も一切関係あらへん文字通りの実力勝負で、オフィシャルS級バトラーの才賀くんですら日本の地区予選のショップ大会から挑んだ。実績やランクからシード枠になる、予選免除なんかが一切あらへん」
この大会は強い奴のみが必然と上がっていくシステムで過去の実績なんかは一切関係無い。故にトーナメントで優遇されることもない。そういう感じの物だと認識していたのだがまさかまさかの最後の最後に、決勝戦にのみ出てくるとか言う存在が現れた。
「バカな!……オレと猛火の試合が決勝戦じゃなかったのか!?今回は純粋な実力で全てを決める大会じゃないのか!?」
『そう言われましても……後1人残っていますので、その方と試合をして頂かないといけないので。あ!ただいま入場しました!』
ヘルメットを被っている全身レザースーツの謎の人物、中身は言うまでもなく上原であるがここは謎の人物として通そう。
いきなり現れた謎の人物、ここまで実績らしい実績を積んでいないので認められるか!と思うバトラー達は多く居る。そんな中でヘルメットを被っているレザースーツの謎の人物は1枚のカードを取り出した。
「【無限の暴食魔人 ソウルイーター】……最後の黒のスピリットのエースカード!!」
ここに来るまでに【剣舞聖帝 タイガ】【不可思議な計算機 ラータ】【
そして十二使徒の対となる黒のスピリットの7つのエースモンスター。【色欲の賢者 リリス】【強欲の詐欺師 ジャック・オー・ランタン】【怠惰な怪異 山本五郎左衛門】【傲慢なる神の使い ルキフェル】【憤怒の審判者 デスハー】【嫉妬の観測者 アルゴス】が出てきた。だが【無限の暴食魔人 ソウルイーター】のカードもそれを使う操り手も情報は一切出回っていない。
「
「残念だが俺は
「……」
黒のスピリットの7つのエースモンスター扱うバトラーは
この男もまた
「まぁまぁ、いいじゃんか……黒のスピリットの最後のエースモンスターを使う奴とバトル出来るんだからよ!」
「まったく、お前は……まぁ、いい……試合は出来るんだな?」
「ああ、何時でも準備万端だ!なんだったら今すぐにでも」
「ダメだ。四季咲才賀と激闘を繰り広げていた。1時間の休憩及びメインデッキとサイドデッキの最終調整に入ってもらう」
最高のバトルがまだまだ出来るんだ!と猛火は喜んだ。
才賀はそんな猛火に呆れながらもこの後に試合をすることが出来るのか確認をすれば今すぐにでも!と笑っている。しかし謎の人物は1時間の休憩とメインデッキ、サイドデッキの最終調整に入ることを命じた。
悪人寄りな存在が多かった
「スピリットモンスターズを創った男、冬夏春秋!決勝戦ではお前に審判を務めてもらう!」
そしてその間に審判を用意、いや、指定する。本戦に出れないもののスピリットモンスターズを創った男として関係者席で観戦をしていた冬夏春秋を呼び出す。
「……私が?……確かに公式戦の審判の資格は持ってますが」
「この世界大会の優勝賞品、それはどんな願いでも叶える事だ。その願いの内容を聞いて流石にそれは出来ないのだと言われるのが困る。故にスピリットモンスターズの力を用いて作った命令を絶対に聞かなければならない誓約書を用意した」
「どんな願いでも叶えると言うルールですからね。いいでしょう。それ目当てで出場しているバトラーも居ますのでサインしましょう」
スピリットモンスターズを創った男に対して誓約書を謎の人物は書かせる。
世界最強の称号だけでなくどんな願いでも叶えると言う餌をぶら下げて表と裏の全ての住人を叩き出したのだから、それを書かないわけにはいかない。
『あ、情報が入りました。決勝戦はマッチ戦の3本勝負!先攻後攻、そして好きに決められるとの事です』
「おぉ、こら、ラッキーやな」
「ラッキーって、黒のスピリットのエースモンスターを持ってる人と3回も勝負をするのよ!?」
「せやからラッキーやねん。猛火はここに来るまでに色んな奴と戦った。対して【無限の暴食魔人 ソウルイーター】を持っとるあいつはどんなバトルをするか分からん。デッキ内容もサイドデッキもなんも分からん。1本目を犠牲にして相手の情報を引き出す。残りの二本でそれに合わせてバトルをする……ラッキーやわ」
猛火のデッキ内容は既に割れている。対する謎の人物は【無限の暴食魔人 ソウルイーター】を持っているだけしか分からない。
相手の全貌が分かっていない、相手のデッキやプレイスタイルがどんなのか分かっていない情報アドバンテージを全く持っていないのはあまりにも不利。3本勝負のマッチ戦なのはとても幸運な事だった。
「先攻は俺から行かせてもらう」
「ああ、構わない!」
1時間後、休憩とデッキ調整を終えた猛火は謎の人物と対峙した。
猛火が自分を倒したのだから優勝してほしいと願った才賀が来福と同じ様に1本を犠牲に相手のデッキ内容やプレイスタイルを引き出す事を考えアドバイスを送り猛火はそのアドバイスを受け入れた。
「ぶっちゃけさ、上原がここに出た場合はどうなの?」
「純ちゃんならここまで来れるとは思うけど、優勝は難しいっすね。ただまぁ、だからこそのこの仕掛けをしたんですけど」
ここまでは全て思惑通りに事が運んでいる。
ここから幾つか行わなければならない事があるので龍一と末広、そして五鹿が何時でも襲撃する事が出来るようにスタンバイをしている。間もなく試合が始まるので龍一がふと疑問に思ったこと、謎の人物こと上原が純粋に大会に出場した場合はどうなったの?末広に聞けば良いとこまでいけるけれども優勝は無理と言った。だから大会運営に回った。決勝戦に上原が出れる様に仕組んだのも、審判として冬夏春秋を選び誓約書を書かせたのも全てオカルト課が大会運営に回って裏工作をしたからだ。
「しっかしまぁ、前回の時といい玩具常識改変罪の事件を終える為とは言え普通ここまでしますか?」
前回に起きた玩具常識改変罪と今回の玩具常識改変罪で色々と行動をしている五鹿は呆れていた。
末広と上原の行動が上手くいけばスピリットモンスターズをオワコン化させる事が出来る。その為に色々としていたが、内容があまりにもクソ過ぎるので五鹿は呆れていた。
「いやいや、鹿さん。無理でしょ。俺達はスピリットモンスターズに選ばれてない……結局さ、どの業界も努力とかが大事だなんだ言うけど、本当に必要なのは才能や環境や血筋だって……そりゃ若い奴等には努力すればとか言うかもしれないけど、俺達は酒飲める年齢なんだから現実見ないと。これ以外に確実に勝てる方法……いや、コレで勝てるかも若干怪しいんすよ」
しかし正規の手段で勝つことは不可能なのはなんとなくで分かっている。仮に出来ても可能性が低い。
ならば可能性が高い方法を模索する。その方法が見つかったのならばその方法を用いる。リスクが少ない可能性が高いのに賭ける、心理戦でなければ極々普通の事だ。
「俺のターン!俺は【ベータテスト】を召喚!」
「っ!!」
「早速か」
謎の人物の先攻によりバトルが始まった。
【ベータテスト】と言う聞いたことがないモンスターを召喚された。それを見て予想通り、謎の人物は自分達が知らないモンスターを持っているのだと才賀が読み通りだったとなる。この試合で不利なのは情報アドバンテージがない猛火だ。先ずはデッキ内容を掘り当てる、そこから猛火のバトルは始まる。
【ベータテスト】
レベル1 攻撃力1000 防御力200 召喚コスト0 生贄コスト1 黒のスピリット シリーズ【無】
「召喚に対するカウンターカードは?」
「無い!」
「ならば、【ベータテスト】の効果を発動!」
「……どんな効果なんだろう」
「まぁ、最初の初動やからサーチ系の効果やろ」
召喚に対するカウンターカードがないのかを確認すれば無いと言われたのでそのまま【ベータテスト】の効果を発動する。
カードに関しては博識の若葉でも聞いたことがないカードで効果が分からないが来福がベタなサーチ系の効果だと予測する。
「【ベータテスト】を召喚に成功した時、デッキにこの【ベータテスト】を入れているプレイヤーはそのバトルに勝利する!尚、この効果の発動に対してのカウンターカードの発動は出来ない!」
「…………え?」
【ベータテスト】の効果は至ってシンプル、召喚に成功したらそのカードを入れているプレイヤーはバトルに勝利をする。
その効果の発動を無効にすることは出来ないのだと分かりやすく説明をすれば周りの空気が固まった。固まった空気の中で3人だけが笑っていた。そう、龍一と末広と五鹿だ。
「クソだ!全てを超越したクソカードだ!」
「wあんなんw、wアウトッスよw」
「いやいや、勝たなきゃいけないんだから、なんでもしないと」
オカルト課が意図的に仕掛けた命でなく負けた者が勝った者の言う事をなんでも聞く闇のバトル。
その結果は先攻1キルで終わった。それに関してはクソコンボだったで終わる。そして謎の人物は暁桜里に命令をした。その内容は至ってシンプル、公式大会で使えるカードを作れと。まぁ、なにが言いたいかと言えば至ってシンプルだ。
スピリットモンスターズと言うカードゲームを作っているカード会社に乗り込んでぼくのかんがえたさいきょうカードを作らせて、それで出来たぼくのかんがえたさいきょうデッキを作り世界大会の決勝で使う!それが決勝戦で唯一勝つ方法だ!!
「…………ギリギリまでトイレに引きこもって制限時間を削って判定勝ち狙うとか初手に最強の手札を用意するイカサマとか相手のデッキを抜いて勝負するのに必要な枚数じゃない窃盗ジャッジキルとか色々な反則があるけどさ、それは一番最悪っしょ」
尋常じゃないほどにクソなので龍一は最悪だと引いている。
尚、某カードゲームでは困った時に裁定を確認出来るサイトの書き換えが普通に行われていた模様。
「先ずは1本目だ」
「ふ、ふざけるな!!そんなカードが認められてたまるか!!」
「コレはちゃんと公式が作ったカードで、この世界大会で使用してはいけない禁止カードではない。なにも問題は無い」
あまりのクソカードでインチキ効果もいいかげんにしろよ!のレベルを越えているので認められないと才賀は叫び抗議を入れる。しかし謎の人物はこの世界大会で使用してはいけない禁止カードに指定されていないカードであり公式が作り出したカードなのでルール上はなんにも問題は無い。
「こちらはサイドデッキからメインデッキの入れ替えはしない。そちらは?」
「っ……」
1本目は謎の人物の勝利で終わった。2本目は猛火の先攻から始まるのだが猛火は考えた。この男のデッキはこんなんばっかなのか?と。明らかにゲームバランスが崩壊しているカードで構築されているのかと。
「スピリットモンスターズ力が猛火くんに集まってるッスね」
「となると、起きるか……課長と五鹿が動くときが」
どうする?と色々と考える猛火だが、結局のところ答えは1つしかない。
己を信じる。己を信じたものを信じる。己が信じたものを信じる。デッキを信じればカードは確かに応えてくれる。
「いくぞ!!俺はマジックカード【三度一致】を発動!手札を1枚デッキの一番下に送り、デッキからカードを1枚ドローする!!」
「今だ!!」
デメリットがあるものの、カードを1枚ドローする事が出来るカードを発動した。
猛火は目を閉じた。呼吸を整えれば今までの出来事が走馬灯の様に蘇る。過去に戦った猛者達の信念やバトル、そしてここまで支えてくれた人達。それら全てを1つに纏め、カードをドローした。
「来た!!俺はマジックカード!【熱きスピリットバトラー】を発動!熱きスピリットバトラーはこのバトル中、お互いに特殊勝利効果で勝利することは出来ない!」
ドローしたカードは特殊勝利効果で特殊勝利することが出来なくするマジックカードだった。
あまりにもピンポイントなメタカード、不自然にも程がある。しかし先ほどの謎の人物が使っていたクソカードの効果を無効化する事が出来るカードなので会場に居たバトラー達は大盛り上がり……そんな中で1つのホイッスルの音が響いた。
この大会でそのホイッスルが一度も響いてはいない。しかしバトラー達はそのホイッスルの音色がなにを意味するのかが分かっており、そのホイッスルを鳴らした男、冬夏春秋がとても苦しい顔をしている。冬夏春秋の周りに何時の間に乗り込んだのだと龍一と五鹿が居る。彼等は誰なんだ?と言う疑問よりも冬夏春秋がホイッスルを鳴らした事について周りは疑問を抱いた。
「ホイッスルを鳴らした、と言うことは審判として介入しなければならない事が起きた……そう認識するぞ?」
「っ……っ…………ああ……審判として介入しなければならない」
物凄く苦しい表情を浮かび上がらせている冬夏春秋はこの判定はしたくないと思っている。
しかしこの世界大会で判定ミスはあってはならない。例え
「このバトル!!折節猛火くんの反則負けだ!!」
「っ、な!?……なんでだ!?」
「……君がドローしたカード【熱きスピリットバトラー】……そのカードは事前に申請された君のメインデッキにもサイドデッキにも入っていない!君はデッキに入っていないカードでバトルをした!コレは反則行為だ!!」
コピーカード等の観点からメインデッキとサイドデッキに入っているカードは試合前に運営に申請している。
猛火がドローした【熱きスピリットバトラー】と言うカードは存在していない公式が認知していないカード、そしてデッキに事前に入れていないカードである。公式が認知していないカードについてはスピリットモンスターズ業界では極々普通の事だ。スピリットモンスターズを創った冬夏春秋が知らないカードも幾つもあり、この大会で何度も見てきた。
だからこそ意表を突くことが出来た。猛火に宿っている玩具常識改変力を完全に無効化するのは龍一と五鹿が協力しても難しい。しかし、猛火が起こす玩具常識改変力で影響を及ぼす人間1人に影響を及ばさない事にするのは可能だった。
龍一と五鹿は本来であればデッキに存在していないカードが入っていてもなんにも問題無く続行されるという点を突き、デッキに存在していないカードをデッキに存在していないカードと審判である冬夏春秋に認知させ、折節猛火の反則負けとして勝負を終わらせた。
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