話を聞く際の間合いを弁えていて
- ★★★ Excellent!!!
話を聞かせて。そう問いかける相手の素性を知れば、皆が納得するホラーの構図。
本作の美点は、聞く人と聞かれる存在の間合いにあります。話して明かすことと、明かさないこと。明かせなかったこと。そこには背景があります。そして、明かせば良しとはせず、寸前で踏みとどまる聞き手としての勘と見識。だからこそ、残すべき話だけが残ります。
全てを俯瞰できるのは、話を寄せて突き合わせた聞き手と、読者のみ。もっと聞きたいという読者もいらっしゃるでしょうが、言わぬが花というものです。
語られる話も、怪異ではあれども怖れではありません。むしろ広く語られるべきものであって。
語られるべき話が、相応しい聞き手に巡り会う、ささやかな幸せを味わいます。