第4話

「なんだこれ」


通信。緊急回線。


「緊急だ。俺の別れた彼女を今すぐ捕捉しろ」


『なになに。復縁?』


「殺して回ってるのは俺の別れた彼女だ。この上着はワンオフで、彼女しか持ってない」


俺の手編みだから。


『了解しました。あなたの別れた元カノを全力で捕捉します。武装許可、全域の哨戒にアラート』


通信を切る。


人ではないもの。ぐちゃぐちゃに殺されている。前と同じ。違うのは、その残骸の上に上着が投げ捨てられていることだけ。


殺してから、上にポイ捨てされていた。返り血の付き方でそれは分かる。


しかし、本当に彼女なのか。そんなに、見落とすようなことが。


いや。わからない。


この上着は、彼女のお気に入りだった。彼女の温度に合致するように調整したワンオフなので、気に入ってもらえてよかったけど。よかったけども。


彼女に、いったい何が。


とりあえず、後処理は組織に任せて、街のほうに。哨戒の捕捉の掩護に向かわないと。


あっ。


「あ」


彼女。

あれか。

犯人が事件現場に戻ってくる的なやつか。

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