第3話

「うわ」


殺したとき、なんかオイルみたいなのが飛んできた。人ではないもの。


お気に入りの上着が。


しかたないから、ここに置いていこうかな。この人ではないやつにかけてあげよう。謎の優しさ。


そういえば。この上着。彼氏からもらったやつだっけ。

夏のくせになんかちょっと肌寒いなっていう、そういう日だった。待ち合わせの場所でいきなり渡されて。ぴったりの温度だった。それ以降、だいたい微妙な温度のときは着てる。春秋メインの一着。


まぁ、別れたんですけども。


意外と尽くしてくれてたんだなって、彼氏を脱ぎ捨てながら思う。


まぁオイルかかったので捨てるだけどね。じゃあね。彼氏の残骸。


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