5
3匹は並んで山道を歩いている。
夏の厳しい日差しを完璧に遮りはしない木々の葉たちは風が通るたびに道を細かく照らす。
「トビー。お前マジで山頂から俺らが見えたの?」
「ピュルルルル。マジもマジ。ホウチュンが調べてくれたんだけど、俺視力7もあるんだって。」
「ちゃんと検査したわけじゃないけどね。」
3匹は楽しそうにキャッキャっと話している。
「そういや、もう夏休みだな。トビーは毎日休み?」
「バカ言ってんじゃないよ。毎日俺が遊んでるって思ってる?そんなわけないでしょ。寺嶋さんに着いてって挨拶回りしたり大忙しよ。」
トビーは胸を張って得意げに話している。
「そっかぁ。じゃあ、あんま俺らと遊べないのね?」
三男雄がそう言うと慌ててトビーは前屈みになり首を振る。
「いやいやいや、そんなことはないと思うな。しばらく寺嶋さんは私用で忙しいみたいだし…俺もそんなずっと何かやってるわけじゃないし…。」
トビーは少し寂しそうに豊虫たちを見る。
「じゃあ、これからはもっと遊べるの?」
豊虫が尋ねると
「当たり前じゃん!他の何を差し置いてもホウチュンとみのっちに会いに行くよ!」
そう言うと嬉しそうにステップを踏みながら進んでいく。
三男雄はそのリズムに合わせてスキップをする。
2匹に置いていかれないように豊虫もスキップをするがうまくリズムを踏めない。
そんな様子を見たトビーと三男雄はおかしくなり笑いながら豊虫の狂ったリズムに合わせて歩みを合わせる。
3匹は三様の種族であるがそんなことはまるで関係ない。
その光景はまさにすべての動物を愛する博愛国家そのものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます