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20分くらいは登ったろうか?

リクガメはようやく歩みを止める。


「ここからが見どころやぞ。おらたちは今太陽を追っかけてきた。上から覗いてる太陽を必死こいて追っかけたわけや。」


「はい。」


「ほんまおめらつまらん。それでそれで?とか言うことあるやろが。全く…。」


「すいません。」


豊虫と三男雄は交互に返事をする。


「まあええわ。見せたいのはこの先や。おめらのしょうもない悩みなんて一瞬で吹っ飛ぶわ。」


リクガメを追いかけ抜けた先は頂上で開けた場所だった。

そこは他の山より高い位置にあり、いろんなものを見下ろせた。


「ほれ、見てみぃ。おらたちが追っかけてきた太陽が今下におるぞ。いつも見下ろしてくるお天道さんがここに来れば見下ろされる立場になる。こんな痛快なこたぁねえやな。」


リクガメは乾いた笑いを響かせながら山の下の太陽を覗き込む。


「すげぇ、綺麗だな。」


「ほんとに。夕日ってなんで見つめれるんだろう。」


「それ俺も思ってた。眩しくないしマジで綺麗だよな。」


そう言って2人で顔を見合わす。


「待って。ちょっと会話に内容なさすぎだろ。」


「ほんとな!バカが頑張ってぽいこと言おうとしてるみたいな!」


そういうと堰を切ったように2人で笑い出す。

リクガメは甲羅を下ろしその様子を少し温かい目で一瞥する。


下から照らす夕日に少し目を細めながらボロボロと涙を流して笑い合っていた。

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