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「ほーんと、おめらよ。人間のくせになんで山で痴話喧嘩してんだ。カフェでやってろや。」


ブツクサ文句を言うリクガメの後ろを2人は黙ってついていく。

豊虫は何度か質問をしてみたがその度に怒られたので話しかけることをやめた。


三男雄と豊虫は気まずい空気を漂わせながらリクガメのこぼす愚痴をただ聞き流していた。


「あのよー。オラばっか喋ってるやないか。つまらんやつやの〜。」


「すいません。」


「はー、つまらんつまらん。人間はつまらんなぁ。」


険しい山を軽々とリクガメは登っていく。

途中岩に生えた苔に足を滑らせた豊虫を三男雄が手を取り引っ張る。

なんとか体勢を整えた豊虫は礼を言う。


「ありがとう。」


「ううん。」


2人の淡白なやりとりを見てリクガメはため息をつく。


「おめらよ、ほんと救えねえな。はよ来い。間に合わんくなるぞ。」


2人は急かされながら黙々と山を登っていく。

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