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「…ちゅう!豊虫!大丈夫!?どうしたのよ!!」


そう言って体を揺らされ目を開く。

しかしまだ夢現で暴れ回る。


「やめて!やめてくれ!僕は…僕はまだ生きたい!」


体を押さえつけていた相手を突き飛ばす。

そこで意識がはっきりしてハッとする。


突き飛ばした相手は母だった。

母は腰をさすりながら立ち上がる。


「ご、ごめん。母さん…。」


そう言って謝る豊虫に両手をグーにして頭をぐりぐりと挟む。


「痛いじゃないの〜。」


そう言って今度は豊虫の体をくすぐる。


「やめて、くすぐったいって!」


そう言って戯れているといつの間にか豊虫の鼓動は落ち着いていた。

それを察した母はベッドに腰掛けて月明かりに照らされながら豊虫を見る。


「怖い夢を見たのね?何か困ったことがあるならちゃんと相談しなさいよ?」


そういう母の優しい顔を見ると安心する。


「ごめん、夜更けに騒いで。でも大丈夫だよ。もう寝る前にホラー映画見たりしないよ。」


そう言って笑って誤魔化す豊虫を見て母は一瞬心配そうな顔をするがスクッと立ち上がる。


「よろしい!ぜひそうしてください!怖いの苦手なんだから寝る前じゃなくても見ないように!」


そう言って人差し指を立てて小さな子供を諭すように説教をする。


「わかったよ、母さん。ありがとう…。」


母は優しく微笑むと部屋を後にする。


そう今見たのは夢だ。

現実では三男雄は全部嘘だと言っていた。


しかしそれが嘘だということは豊虫にはわかっていた。

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