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少女はクマの背に揺られながら色んな話をしている。
今日食べたお菓子や両親のこと。
少し年上の兄が友達と一緒に意地悪をしてくること。
クマさんのこと。
クマさん以外あまり仲のいい友達がいないこと。
ひぐっさんは静かに聞きながらたまに相槌を打つ。
「私って人とはうまくいかないのよ、きっと。」
「そんなことはない。お嬢さんは同年代と比べると少し大人すぎるだけさ。みんなも成長すれば仲良くなれるよ。」
「そうかしら?あの人たちは永遠に子供な気がするけどね。」
ひぐっさんはそれを聞いて低く笑う。
「まあ、男の子はいつまで経っても子供だと俺の母親もよく言っていたよ。」
「そういえば今まで名前がなかったのにあなたはどう呼ばれてたの?」
「父や母には倅って呼ばれてたしよそのクマからも三角窟の倅って呼ばれていたな。」
「あら、それじゃあなたのお父さんも昔は三角山の倅じゃない。そんなのわかりにくいわ。」
「それは確かにそうだな。だから年寄りにうちの親父も三角窟の倅って呼ばれてたのか。」
「なにそれ、おかしいわ。」
うふふと笑う少女に釣られてひぐっさんも笑ってしまう。
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