あなたと永遠の愛を。〜This is my last love〜

雪月葵

第1話…出会い。

悠愛「……ん、んん……」


 私は、目が覚めた。

何だか、いつもより頭が重い……。

というか、身体も怠い。風邪かな……?

なんて、考えながら体を起こすと。


悠愛「……え?」


 私は、服を着ていなかった。しかも、見覚えのないベッドの上にいた。

いや、見覚えがないのはベッドだけじゃない。部屋自体も、見たことのない場所だった。


悠愛「こ、ここ、何処……!?」

?「あ、起きた?」


 と、私に声をかけてきたのは……

かなりのイケメンで高身長の、金髪の男の人。何故か上半身は裸で、マグカップに飲み物を淹れて現れた。


?「よく寝てたねー。まあ、そりゃそっか。昨日の夜、あれだけ激しくシちゃったら……ね?」

悠愛「し、しちゃったら……って……」

?「あれ?もしかして覚えてないの?」


 そう言いながら男の人は、タバコに火をつけた。


悠愛「お、覚えてないですよ!それに、貴方誰ですか!?ここは何処なんですか!?」

?「その反応、ショックだなぁ……。昨日の夜は、あれだけ”愛し合った”っていうのに……。

まあいいや。もう一度自己紹介するよ。俺は日野怜神楽ひのさとかぐら。好きに呼んでくれていいよ。」

悠愛「日野怜、神楽さん……」

神楽「あ、君の名前は名乗らなくていいよ。俺はちゃんと覚えてるからね。……日景悠愛ひかげゆあちゃん、でしょ?」

悠愛「そ、そうですけど……」

神楽「まあ悠愛ちゃん、昨日相当飲んでたから、酔って記憶なくしてたんだねー。

俺、色々悠愛ちゃんの話聞いてあげたんだよ?」


 確かにキノは、沢山飲んだ気がする。ヤケ酒ってやつだ。

何でヤケ酒をしたかと言えば……

 周りは絶賛、結婚ラッシュ。私の年齢になれば、結婚していくのが当然だし、これ以上遅れたら売れ残りだ。

なのに私はと言えば、専門学生以来恋人なし。

しかも、最後に出来た恋人にすら、「君といると疲れるんだよね」と言われ振られてしまった。

 それ以来は、仕事が忙しいのもあったけど……合コンに行ったりしても、何も起きず。

そんなに私には魅力がないのかとか、色々考えているうちに……バーに辿り着いて、1人で飲んでいた。

……1人で飲んでいた、筈なのだが……


神楽「にしても、昨日の夜は俺も久しぶりに楽しかったよ。あんなに激しくシても壊れず、ついてきてくれたのは悠愛ちゃんが久しぶりだったし。」


 ……成程。どうやら私は、夢を見ているらしい。

夢だ。これはきっと何かの夢だ。

 だってそうでしょう?私みたいな魅力のない女が、こんなイケメンに抱かれるわけがない。しかも、そのイケメンが気に入る程の相性の良さだったなんて、有り得るわけがない。

夢だ。夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ。


神楽「俺らって、相性いいみたいだね♡どう?今後もこうして会わない?」


 ……夢、だよね?夢ならいつ覚めるの?


悠愛「あ、あの、これ、何かの間違いですよね?夢ですよね?」

神楽「ん?」

悠愛「わ、私なんかと、その、えっと、神楽さんが……した、なんてのは……」

神楽「本当だよ?」

悠愛「………」

神楽「あんなに気持ちよかったの、本当に久しぶりだなぁ。ね、お願い。もう1回させて?」

悠愛「む、無理です!」

神楽「えー、何で?」

悠愛「か、身体がもたない……のもありますけど、その、そんな、えっと……」

神楽「大丈夫。全部俺に任せてくれてれば、悠愛ちゃんはそのままいてくれれば、全部俺がするから。」


 と、神楽さんはタバコを消して、私の上に覆い被さる。

そ、そんなの、心の準備がっ……!


悠愛「や、やめてください!」


 私は、神楽さんを押し退けようとする。だが、ビクともしない。


神楽「何で?昨日の夜はあんなに受け入れてくれたのに……」

悠愛「と、兎に角、無理です!

それじゃ、私は帰りますんで……!」


 何とか神楽さんは諦めてくれ、私の上から退き、私は服を着て鞄を持ち、素早く部屋から出て行こうとした。


神楽「ふふ、怒っちゃってかわいー。でも、大丈夫。俺らまた会えるよ。」

悠愛「ふぇ……?」

神楽「そんな気がするんだよねー。俺の直感。だから今日は、帰してあげる。

じゃーね、怒りんぼ悠愛ちゃん♡」

悠愛「……し、失礼しました!」


 私は、その言葉が気になったが、兎に角いつもの日常に戻りたくて、部屋から出て行った。


___________________________________


悠愛「……何だったの……」


 色々とわけがわからない。どうして私なんかが、あんなイケメンと身体の関係になったのか。

あんなイケメンなら、女には困ってないだろうに、どうして私なんかに手を出したのだろう。

あ、もしかして、いつも美女ばかり食ってるから、偶の箸休めとしての、ゲテモノ食い的な?うん、それならまだわかる。


 時間は昼過ぎ。今日は土曜日だ。

兎に角この状況を、少しでも整理したくて、私は親友の家に向かった。


《ピンポーン》


夕梨花ゆりか「はーい。いらっしゃい、悠愛。」

悠愛「……夕梨花〜……」

夕梨花「ちょ、いきなり泣き出して、どうしたの!?

と、兎に角、中入って!」


 家の中へと入れて貰い、昨日から今までの一部始終を親友の夕梨花に話した。まあ、バーに辿り着いてからの記憶はなかったので、そこの説明は出来なかったが。


夕梨花「はぁ〜……そりゃ災難な。」

悠愛「この歳になって、お酒で失敗するなんて……有り得ないよ……」

夕梨花「ん〜、でも、めっちゃイケメンだったんでしょ?」

悠愛「うん。しかも高身長。」

夕梨花「なら良かった方じゃん。これが不細工で……って考えたら、もっと最悪だったでしょ?」

悠愛「そ、それはそう、だけどぉ……」

夕梨花「悠愛はネガティブだから、悪い方に考えちゃうかもしれないけど、でも、イケメンとヤれたってことで、プラスに考えよ!」

悠愛「む、無理だよ……そんな簡単に、割り切れない……」

夕梨花「それを何とか割り切るの!」

悠愛「うぅ〜……」


 夕梨花はそう、私を励まそうとしてくれる。

私はどちらかと言うとネガティブ思考だから、プラス思考の夕梨花の夕梨花に、いつも助けられているな……。


夕梨花「ま、今後は1人で深酒ヤケ酒はしないことね。」

悠愛「はい。そこは本当にそうします……。」

夕梨花「で、お昼は?まだなんでしょ?」

悠愛「あ、うん。」

夕梨花「なら、近くに出来たカフェ行こうよ!結構オシャレでさ〜、気になってるんだよね。」

悠愛「いいよ。あ、でもちょっとシャワーと、服借りていいかな?流石に……その、えっとヤった後だから、多分汗とか凄いし……服は昨日の仕事終わりのままだから。」

夕梨花「勿論いいよ。」

悠愛「ありがとう。」


 そう言うと、私はシャワーを借りて、服を借り夕梨花とカフェへと出かけた。

カフェは本当にオシャレで、ご飯も美味しかった。

 ただ、カフェなのにダーツやビリヤードが置いてあったのは、少し不思議だった。オーナーの趣味なのかな……。


夕梨花「は〜、美味しかった!いいお店だったね!」

悠愛「うん、そうだね。

ありがとう。話聞いてくれて、カフェに連れて来てくれて。いい気分転換になったよ。」

夕梨花「よかった。

じゃ、今日は真っ直ぐ帰りなさいよ。」

悠愛「うん。そうする。」


 そう言うと、私達は別れた。

私は家へと帰り、夕梨花から借りた服と、微かに香るCHANELの香水のついた昨日着ていた服を、洗濯した。

多分、このCHANELの香水は、あの人……神楽さんが付けていたものだろう。あの人に抱かれたから……匂いがついたのだ。

 ……どんな抱かれ方したのかな。

なんて、思い出せないことを考えてしまった。考えたって仕方ないのに。

 もう一度シャワーを浴び、アイスを食べながらテレビを見ていた。

その時。


《ピロン》


 スマホが通知を知らせた。

誰からだろうと思い、見てみると……表示が《神楽さん》となっていた。


悠愛「え……」

神楽『今電話いい?』

悠愛「………」


 私、いつの間に神楽さんに連絡先を……?

そう思いつつ、要件が気になったので、いいですよと返事をした。

するとすぐ既読がつき、電話が鳴り響いた。

緊張しながら、電話に出る。


悠愛「……もしもし。」

神楽「もしもーし。悠愛ちゃん?遅くにごめんね。」

悠愛「い、いえ……それで、ご用件は何でしょうか。」

神楽「そんな身構えないでよ。ところでさ、明日暇?」

悠愛「明日……ですか?」

神楽「そう。日曜日じゃん?どっか遊びに行こうよ。あ、大丈夫。手を出そうとかそんなのは考えてないから。」


 昨日の初対面で手を出した人のセリフとは、思えないな……。信用がないというか……。


悠愛「本当に、手を出しませんか?」

神楽「うん。約束する。だから会お?」

悠愛「……まあ、いいです、けど……」

神楽「やったー。じゃ、待ち合わせ場所メッセージしとくから、朝10時に待ち合わせね。

じゃーね!」


 一歩的にそう告げると、電話が切られた。


悠愛「……何か、子供っぽい人だな。」


 心が子供のまま、大人になったような人だなと思っていると、すぐメッセージは来て、待ち合わせ場所が記されていた。


悠愛「……明日も出かけるなら、今日はもう寝よ……」


 私は薬を飲み、眠りについた。

明日は何も起こらなければいいな。

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