第3話 ボス戦の前の契約

 ちょこっと進んでしばらく。

 ぷるぷると揺れる複数の影。半透明の淡い水色のスライムの群れに遭遇した。


「わぁ…かわいい!」


 エリュシアが目を輝かせる。

 太陽の光を受けて、スライムたちはまるで宝石のように煌めいていた。


「こいつらは『ヒールスライム』だ、回復を得意とするスライムだよ」


 俺は頷きながら、何匹かヒールスライムと契約する。

 よしよし、これであと自然種のモンスターも何匹か契約すればカンムリをさらに強くできるぜ。


「《海辺地帯》は水種と自然種と獣種が主だからそっちも何匹か契約しときたいなぁ」


「ヒスイ君、こんなにたくさん、大丈夫ですか?」


「問題ない。数は多ければ多い方が良い。それに、回復系って結構重宝されるんだ」


 ルーちゃんも俺の横で、警戒しながらも楽しそうに跳ねる。

 ヒールスライムたちは再生能力を使って抵抗してくるが、俺たちは焦らず一匹ずつ確実に処理していく。


「ふふっ…見てください、ルーちゃん!ヒスイ君!」


 エリュシアが手を差し伸べると、ヒールスライムの一匹がぴょんと跳ねて、彼女の掌に乗った。


「これで契約できそうですわ!」


 エリュシアも1匹ヒールスライムの契約を済ませたようだ。


「今日からあなたは”ヒーちゃん”です!よろしくお願い致しますわ!」


『ぷにゅ!』


 ヒールスライムはぷるぷると揺れながら小さく跳ねた。

 ヒールスライム系統って結構女性人気高いんだよね。しかもちゃんと育てると普通に強い。

 それに特性が【回復得意】で、回復量は増えるし消費MPも少し減るんだよね。さすがスライム、無限の可能性を秘めている。


「ヒールスライムと契約出来たことだし、この調子で攻略していこうか」


「はいっ! ルーちゃん、ヒーちゃん、頑張りましょう!」


『ウォン!』


『ぷにゅ~!』

 

 ルーちゃんが尻尾を振り、ヒーちゃんもぷるぷると跳ねる。

 潮風が吹き抜ける海辺地帯に、俺たちの冒険の足音が響いた。


 あれからも何匹かモンスターを倒したり契約(俺だけ)したりして進み続け、そして俺達はついにボス戦に挑むことにした。

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