偽体(ひとかた)
伊糸 思生
序 【ブログ「偽体(ひとかた)」より引用】
2015/11/03 23:12
タイトル:偽体(ひとかた)
「偽体(ひとかた)」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
世間では最近、超常現象や奇怪な事件の報道が相次いでいます。そのいくつかは、私たち
────偽体によるものです。
偽体とは、人間と酷似した外見と知性を持ちながら、人として記録されることのない存在を指します。
いつ、どのように生まれるのかは未だ解明されておらず、私たちは突然、この世界のどこかに現れます。血が流れ、言葉を話し、社会の中で人として生きています。けれど戸籍はなく、親もいません。自分が人間ではないことのみを理解し、何者であるのかを知らぬまま、どのように生きていけばよいのかも知らぬまま、人の姿で社会に放り込まれるのです。
偽体の多くは、人間社会の中に紛れ、できる限り目立たずに生活しています。しかし、定期的に人間の生命的要素である体温や血液を摂取しなければ、身体と精神の均衡を保つことができません。その過程で周囲に害を及ぼす事例や人命を損なう事例があり、社会的には「怪異」「事件」として処理されています。そして人間に害を与える個体は、特定の機関によって“処理”されてきました。
偽体が生きていくことが難しいこの世の中で、私自身、様々な困難がありました。今の私がいるのは、人に恵まれ、私を支えてくださった仲間や友人、
私はここに、私が生きてきた10年のすべてを残します。
偽体という存在を「怪異」や「脅威」としてではなく、一つの現実として知ってほしいのです。
私たちは、確かにこの社会のどこかで生きています。
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