死んだらアカン
あ〜ちゃん
第1話 戦争の被害者は一般人
「おばあちゃんが若いときはね、今みたいに自由な恋愛はほとんどなかったのよ」
「タイピストの学校に行きたかったけどね、お金がなかったから行けなかったのよ」
「若いとき、おばあちゃんのことを好きだった人にプロポーズされたんだけどね、相手が警察予備隊の人だったから親に反対されて違う人とお見合いして結婚したのよ。戦後直後は軍隊に対するアレルギーが強かったの」
「空襲でアメリカ軍に頭の上に爆弾落とされたの」
「家に風呂がなくてね、銭湯に行くんだけどねみんな不衛生でしょ、戦争中だからね。それでね銭湯の脱衣所の籠にシラミがいっぱいいてね、そこでシラミが移って感染するの」
「アメリカ軍がね学校に来たの。それで頭にシラミを殺す白い粉をかけられてね、シラミがいなくなったの」
小学生の頃、こういう話を学校から帰ってきてから祖母はよくしてくれました。子どもながらに平成の時代は恵まれているなと思いました。2003年から2008年ぐらいですね。平成の中旬ぐらいですね。ガラケーが発売され出した頃です。ソフトバンクの電波が弱すぎて電話がよく切れていた時代です。スマホなどはありませんでした。GPSもまだ軍事衛星だけで使われているだけで、民間にはまだありませんでした。車で家族旅行に行くのですが、当時はカーナビがなく親が地図を見ながら運転するので、よく酔っていました。そして道を間違えまくりなかなか旅館に辿り着けずということがありました。
戦前の日本は好きな人同士が付き合ったりということはめったになかったそうですね。道で若い男女が話をするだけでも噂になったそうです。結婚はほとんどお見合い。祖母もお見合いでしたが、祖母は祖父のことを今風に言うと、とても愛していました。祖父は孫(僕)の顔を見ず早死にしたのですが、それはもう無念だったと思います。小さい子どもが好きだったようです。空襲が終わった後は悲惨だったそうです。あちらこちらに死体は転がっているわで、逃げた先から家に帰ってくる途中に死体を何回も跨いで帰ってきたそうです。終戦してからはアメリカ軍が街にやって来て、トラックの荷台に乗りながら日本の子どもにチョコレートやガムを投げていたそうです。今の時代ではありえないでしょう。祖母にとって衝撃的な子ども時代だったと思います。日本は惨めだったとよく言ってました。親戚も何人か兵隊で戦死したと言ってました。戦争から運良く帰ってきた者は心が壊れて酒浸しになりました。もともと良い人だったそうです。戦争は国を貧しくし、人間を潰すのです。なので戦争は絶対にしてはならないし、許してもなりません。戦争をすると必ず国が疲弊するのです。国民の生きる希望がなくなります。戦争で苦しんだり死んだり惨めな思いをするのは一般人です。
死んだらアカン あ〜ちゃん @mitsugashiwa
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