Darling Rendezvous！

Darling Rendezvous！前編

０１「ダーリン、この街には天使がいるんだ。堕落と転落の天使の子守唄で、私たちはやっと睡れる！」

◇

　あらゆる愛の取決めごと、それはすなわち契約だ。

　愛する契約、愛される契約。献じる契約、献じられる契約、そのあり方が一見不利益に見えるとしても、そこに利があると了承したゆえに契約は交わされる。

　———ダーリン＝ファタール契約。

　この都市にはそんな人間模様のカリカチュアのような契約が存在していて、驚くべきことに契約書もサインもなしにその契約が果たされる！　その上、連帯責任は地獄まで有効だというのだから始末に悪い。

　だから、このオルドポルターで生き延びたいのなら慎重でいるべきだ。不条理と悪辣が偶発的に弾け飛ぶ、クラッカーの祝福を真似て悪が手を叩くこのオルドポルターでは、お前の生命や意志なんてものは「お飾り」だって思うといい。

　それでもお前がこの地を踏み鳴らして生きていたいって言うのなら、求める程度に釣り合う対価を払う必要があるだろう。へえ、生命を差し出す？　オルドポルターの外では通じそうな冗談だ。だけど残念ながら、お前の生命は「お飾り」。だからお前は、愛とは別個、生きるための契約を交わさなくちゃいけない。

　慎重に、命綱を選ぶと思って、よく考えて。———誰だって、サインをした契約書が貧乏籤だったなんてオチ、ごめんでしょ。

◇