第41話 静の快進撃

 人間となり、雨塚の長女となり、僕達の姉となった静は天使から解放されて、凄い快進撃を見せていた。


 「ほら、啓介起きなさい。もう、朝ご飯できてるわよ!」


 「ああ、姉さん。分かった。」


 と朝からご飯を作り、登校の時も


 「おはようございます。静さん。啓介君。」


 「おはよう。茜ちゃん。暦ちゃん。」


 「おはよう。静姉ちゃん。啓介兄ちゃん。」


 と挨拶して、登校し、


 学校では、常に勉強、運動、全てに置いて、完璧で、現生徒会長が優秀でも静の前では霞んで見える。

 そして、ファンクラブもできて、男女共々、会員数が増えて、他の学校からも凄い応募人数ができている。

 始めはリアル天使と呼ばれたが、冬にはリアル女神様と呼ばれるようになり、芸能事務所からひっきりなしにスカウトが来たが、全て断り、海外の大学の勉強も全て勉強し終えて、論文だけで、高校生ながら、飛び級で海外の大学の研究員となって欲しいと手紙が来ていた。


 しかし、全て断り、僕達の模範になるべく、今の生活を続けている。


 そして、静は


 「早く、ちゃんとして、茜ちゃんと釣り合うようになりなさい。次期、当主なんだから!」


 と僕に言い、八ヶ岳さんとの交際は静の一存で決まってしまうほど、兄妹の中で長女の威厳が確立されていた。


 離れてた父親の祖父、祖母にも挨拶に行き、許しを得て、まさにそつがなかった。


 両親もこの姿に感激を受けて、母さんは


 「静ちゃん、長女として、完璧過ぎるから、母さんの仕事を取らないでー!」


 と母さんと笑い合いながら、


 「いえ、母様にはまだまだです。力は失っても、他で補いたいので!!」


 「良かったわー!こんな長女ができて!!」


 と母さんに言って、意気込みを語り、絶対的な信頼を得ていた。


 他にも、ファッションにもうるさい姉なので、和装等、いろいろ持っていたものがフューチャーされ、真似する人が続出して、アマツカ女子と呼ばれる人達まで現れて、現世での影響力は海外まで飛び火していた。


 当の本人には、全然興味がなく、僕と琴音だけでなく、皐月さん、出門さんの勉強の面倒等を見て、天界からもまた来て欲しいと言われたが、雨塚家に服すと言う事で断った。


 とにかく、凄まじい快進撃だったので、あっという間に年を越した。


 「まさか、静が天使から解放されてここまでとはなー。」


 「静さん凄すぎますー。天使の仕事が山積みでこれを平然とこなしていた静さんってどういう天使だったんだろー?」


 思わず、皐月さんが琴音に泣きつきに来た。そして、琴音も


 「うん。静姉さん、凄すぎます。なので、他の天使も要請します。」


 と琴音も仕事の量に限界を感じ、頭がロボットみたいになったので、その他2名を要請した。


 そして、静は、


 「琴音ちゃん、母様はその仕事量をこなしていたから、母様の凄さを分かった?」


 「はい。姉さん。やっぱり、母さんも凄いです。」


 と言って、静に抱きついて来た。母さんの凄さも強調しつつ、両親を立てて、琴音にとっても良い姉をちゃんとしていた。


 僕にも厳しいが、静の本来の力が見えた感じで、どれだけ、100年の間で苦労してきたか、見えた気がした。


 そして、正月が終わる頃になった。

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