第39話 雨塚 静

 数日経ち、母さんは天界に行ったままだ。そして、静にもいよいよ、天界からのメッセージが来る。学校から帰って、天界からのメッセージを待っていた。その答えは、、、


 『創られし、天使静よ。お前に言い渡す。』





 とうとう来た。






 『お前を創り変える事にした。女神静流から直訴があったが、却下だ。』



 僕はそう来ると思った。そして、力を解放して、天界に殴り込みに行く事を決めた。

 力を集中して、空間を開け、静を置いて、無理やり天界に行った。



 そして、天界に来た。凄い綺麗な場所だ。たくさんのいろいろな天使がいる。そして、母さんが混じっていたので、母さんの元に降りた。


 「啓介、やっぱり来たのね。御免なさい。私の力不足で、、、」


 「ううん。そんな事ない。後は僕が神様と話を付けて来るよ。だから、神様に通じる場所を教えて。」


 「分かったわ。この首飾りを付けて、あの門に飛び込めば、直に会えるわよ。」


 そう言われて、僕は首飾りをかけた。


 「母さん、心配はしないで、荒事にはしないよ。」


 「分かったわ。行ってらっしゃい。」


 そして、門を通り抜け、神様がいるところに飛び込んで行った。


 「…天使(あまつか)の者か?」


 不思議な空間の中で、フワフワ浮きながら、声が聞こえるが、姿はない。


 「そうです。天使の静について、話を付けに来ました。」


 「そうか。だが、決定は覆られぬぞ。」


 「何故ですか?造り物だからですか?」


 「そうだ。我々が力を結集して、創ったが、やはり、人間からの天使が一番と我々は判断した。まがい物は所詮まがい物と言う事だ。」


 「静は僕の家族です。そう言うなら、天使の次期当主として、相手になります。」


 「破壊神の力か…いいだろう。血が薄まってるお主が神々に勝てるかな?」


 「良いでしょう。やってみますか?」


 とお互いに力を解放した。そこへ



 「ちょっと、待ったぁ。」


 と声が聞こえた。そして、神々も僕もこの空間が歪みそうになったが、落ち着いた。




 そして、そこへ来たのは父さんと静だった。


 「父さん、静?何故?」


 「母さんに任せてるんだろ?そう、慌てるな。どうせ勝てはしないんだから、、、」


 「天使の現当主か?どうした?」


 「話がありましてね。これを見てください。」


 と言って、でかい箱を出した。そして、中身は、


 …変身前の静だ。翼はないが、静とそっくりの模型だ。そして、父さんは言った。


 「私が創造神って、忘れてませんか?神々よ!どうか、この勇者によって作られたこの入れ物に静の魂を入れて下さい。

 そうすれば、天使ではなく、人間として、静は過ごせます。現当主、勇者の魔王討伐の報酬をまだ頂いておりません。これで、どうですか?」


 そう言って、静かな空気がしばらく続いた。


 



 「よかろう。創造神よ。勇者としての魔王討伐の報酬がまだだったな。一人の天使の魂くらい、くれてやる。だが、条件がある。天使は力を失い、二度と天使には戻れぬぞ。」


 「構わないです。啓介と一緒にいられるなら、それで良いのです。啓介は私を家族として、迎えいれました。

 そして、啓介が小さい頃の約束を私に果たす為にここまで、来ました。だから、この入れ物に入って、人間として、暮らします。力も何も要りません。」


 「……分かった。…よかろう。覚悟は決まっておるのだな?」


 「当然です。」


 そして、静は人間となり、僕達の家族となって、地上に降りた。


 そう、雨塚 静 となって、、、

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