第30話 実際の関係は?

 休憩をして、母親に引き続き説明を受けた。


 「実際は八ヶ岳さん姉妹は魔族のクォーターだけど、魔族の力は使えないの?」


 「これまでの様子を見ると、使えない確率が高いわね。八ヶ岳さんのお母さんは使えても、さすがにクォーターになると、見た目は普通の人間だし、なによりお父さんの魔法で記憶が変わってるところを見ると、実質的に人間と見た方が良いわね。」


 「って事は出門さんの家にいる八ヶ岳さんのお母さんはこの事を知って、敢えて出門さんの家にいるって事なのかな?」


 「そうでしょうね。出門さんを変な闇を抱えないようにしてるように監視の意味でも天界からお達しが来てもおかしくないわ。私もそこまでは聞いていないけど、出門さんと茜ちゃんの仲の良さはここまで関係が深くないと説明ができないわ。」


 「父さんはこの事は知ってるでしょ?」


 「いえ、お母さんがこの話を敢えて父さんと琴音には言ってないわ。父さんは優しいから抱えちゃうし、仮に知ってても、何もできないから、父さんに勝手に行動されたら、それはそれで天界に激震が走るわ。」


 「では、何故、僕と静にこの話を?」


 「茜ちゃんがあなたの事に恋心を持っているからね。だから、あなたと茜ちゃんがお互いに恋仲になって、お互いに知らない事が多かったら、いざという時に静が対処できないでしょ?」


 「八ヶ岳さんにはこの事は言った方が良いの?」


 「いいえ、それはあなたの母親、つまり、私に託して欲しいわ。お父さんはあなたの能力を落ち着かせたのに、私だけ何もしない訳には行かないわ!私にはお母さんとしての責務も果たしたいわ!だから、八ヶ岳さんや出門さんの事は任せて安心して頂戴!」


 母さんにもプライドがあるって事か、、、

 よし!母さんに任せよう。


 「じゃあ、母さん任せたよ!」


 「安心して、それは任せて頂戴!代わりに久しぶりに啓介の料理が食べたいわ。」


 と最後にズッコケそうな落ちで料理を任された。


 静が


 「今日は何を作るんだ啓兄?」


 冷蔵庫を見た。久しぶりの家だ。今日は奮発してもらおう。牛肉があるから、すき焼きの焼き肉風味 に味変しよう。


 「すき焼きだ!」


 「おお、あの絶品の鍋料理か!?」


 前に静に出したら、大喜びしていた。しかも今日は家族分と静の分も作るので、味変してもらえるように工夫をしよう。


 いろいろな話があったが、まずは瞑想のつもりで家族と静の分の料理を作ろう。丁度、腕試しにも良い。


 けっこう、作るのに時間がかかるが、そこは腕をあげたのを証明する為に集中しよう。今日の話を忘れるくらいに僕は気合を入れた。


 そして、琴音が帰って来て、父さんも帰って来た。静を交えての初めての家族団らんだ。父さんも母さんも静を歓迎していて、静も嬉しそうだ。


 実際、僕の目にもこうして、みんなで食べるのが、こんなにも幸せな事だとは思わなかった。


 そして、久しぶりに自分の部屋に戻り、静は琴音の部屋で寝て、夜が過ぎて行った。

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