第25話 帰宅後
新しい一日だった。静も大人しかったし、待ち望んだ平凡な一日だった。僕は静が来てから、のんびりする暇がなかった。皐月さんも出門さんもさすがに天界からの通達には驚いたような感じだった。でも、みんな馴染むのが早い。これは良くある事なのだろうか?まぁ、学校から帰って、のんびりして、夕飯を作るか、って思ったら、
「啓兄、今日のご飯は何だ?」
そこには今まで見た小さい静の姿があった。
何故?変身できないのではないのか?
「静、どうして小さい姿なんだ。」
「家では、こっちの方が楽なんだよ。大人の天使の姿では完璧を演じなければならないから、こっちの姿ではっちゃけるのが楽しくて、、、」
「って言うか小さく変身できるのか?」
「風呂場でやったら、できた。」
「どういう事なんだ?一体、、、」
僕は考えこんだが、答えは出ない。でも、こっちの方が僕の中でも楽かもしれない。正直、あの姿だと落ち着くのに時間がかかりそうだ。そこで、プラスに考えて、家の時ではこの姿でいることにしてもらった。
「よし、考えても仕方ない。夕飯を作ろう。」
「啓兄、私はカツ丼が食べたい!!」
「カツ丼かぁ、食材は、、、豚肉が無いな〜。鶏肉があるから、親子丼でいいか?」
「親子丼!?美味しそうだ。それにしてくれ!何せ、あの姿は自分でも誇りを持っているから、完璧を繕わなければならないからな。」
「静には静のこだわりがあるって事かー。NO1の天使様も大変だな。」
そして、ドアがガチャっと空いて、琴音が来た。
「啓介兄さん。静ちゃん変身できるんだって!?」
「琴音姉様!ご心配おかけします。家の中ではこの姿になる事ができたので、お許しを頂きたいです。」
「ん〜、やっぱり私もこの姿の方がしっくり来るな〜!!」
と女の子同士イチャイチャしてた。
「琴音。お前も食べるか?親子丼!!」
「えっ、いいの?啓介兄さんの料理は美味しいから食べる。お母さんに連絡するね。」
「分かった、分かった。早く帰れよ。女の子に夜道は歩かせたくないからなー。」
「そこは女神の特権があるから、大丈夫よ。啓介兄さんも妹思いになったのね。」
と琴音はからかうが、静が小さくなって、肩の荷が下りたから、とにかく良かった。
そして、親子丼ができた。
「よぉし、親子丼できたぞう!」
二人とも、蓋を開け、その匂いに魅了された。
「さすが兄さん。昔の家庭の味がして、懐かしい。」
「啓兄、めちゃくちゃ美味しいな。これ。」
「そうだろう。出汁からちゃんとやったからなー。」
「さすが兄さん。」「さすが啓兄。」
と二人共に声を揃えて言って来た。
そして、自分でも食べたが、なかなかの絶品だ。
これなら、八ヶ岳さんが作っても、引けは取らないだろう。と確信した。
そして、
「ふぅ、ご馳走様。」
と二人共に満足した様子だった。
静は横になり、そのまま寝てしまった。そして、琴音が、
「静ちゃんなりに悩んでたみたいだから、ゆっくり寝かせてあげましょ。あの姿は静ちゃんにとってはコンプレックスみたいなものだから、、、」
「どういう意味だ。」
「一番には一番の苦労があるって事。啓介兄さんには、女心は分からないだろうけど、、、じゃあ、私帰るね!」
と言って、帰ってしまった。
「まぁ、静もあの姿じゃあ、下手にカッコ悪いところ見せらないのは分かるから、家ではこれで良いか。お疲れ様。静。」
と言って、僕は洗い物を片付けて、ゆっくりした後に寝た。
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