第22話 啓介の試練
父親と会話したが、これからをどうする?と言う議題になった。流石に急に静が大人の姿に変わってしまって、母さんの天使に戻れば、元の姿になれるが、それでは琴音が女神として、育たない。第一、静は琴音の初めての担当天使だ。
父親が
「あまり、記憶操作は嫌なんだが、これからは静はその名前のまま、お前の姉として、高校三年生になってもらうか、、、」
「つまり、僕の姉として、静は過ごして行くの?」
「そうだ。まぁ、姉でも静と言う呼び方は変わらなくていい。とにかく母さんにも話はしとくから、大丈夫だ。」
と言って、父親が指を天に指し、光が出て、空に光が舞った。
「これくらいは静にもできる。母さんから天界に話はつけといてもらう。」
「静の一緒に学校行ってた、暦ちゃんや小学校のみんなと過ごした同級生はどうなる?父さん。」
「申し訳ないが、記憶を操作さしてもらった。お前も受け止めるのが辛いだろうが、どうか分かってくれ。」
「こちらの事情でホイホイと記憶操作をするって、何?」
と俺が怒りを見せたが、ミサンガが光り、俺は落ち着いた。
「ミサンガの力はちゃんと稼働したか、、、まずは落ち着け。啓介。」
「分かったよ。父さん。」
どうやら、俺の精神を安定させる為にこのミサンガがあるのは理解できた。しかし、こちらの都合でホイホイと記憶が書き換えられるのは納得はあまりできなかった。
しかし、父さんと話をして、僕が怒り狂う度に、破壊神の力で何度もこの世界が破滅したと聞かされて、その度に父さんがこの世界を元に戻したと言われた時は絶句した。
でも、事実を受け止めるしかなかった。この境遇が嫌になりそうだ。そして、父親が、、、
「今すぐに全てを受け止めなくても良い。お前は父さんと母さんの紛れもない息子だ。ゆっくりと俺達の息子だと、慣れて行けば良い。隠し事はもう無いから、安心しろ!そして、父さんの息子なら、この境遇と試練を乗り越えろ!」
といつも僕に興味なさそうに仕事ばかりしていた父さんが初めて、僕に向き合ってくれた気がした。
そして、その言葉には魔法等ではなく、熱い気持ちが乗っかっていたのは感じ取れた。
「分かりました。父さん。」
「何かあったら、俺と静流が居る。お前の紛れもない両親だからな。母さんにもちゃんと話をしておく。お前と琴音は紛れもない俺達の子供だ。何かあれば、俺達の責任だから、啓介達は何も悪くないからな!」
と続いて、僕は涙した。今まで、溜まっていた何かが浄化されるような何かがあった。
「ありがとう。父さん。もう大丈夫。」
「そうか。何かあったら、すぐに俺に言え。」
「分かった。」
と話がまとまり、父さんは帰った。
これからどうなるかは分からないが全てはこの生活をして行くしかない。同じような事があっても、僕は覚悟を持って、この試練に耐える。そう言う気概を持たないといけないと思った。
僕の力で何度もこの世界を直して来た父さんの気持ちを思うと、この事に逃げないようにしようと思った。そして、僕は一つ成長したように感じた。
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