第19話 小さい頃の静との出会い

 ある日の朝に、静との出会いを思い出した。

 5歳になる頃、近所の神社の祭りに家族で出かけた。父親からしっかり手を繋いでおきなさいと言われたが、その頃は意識せず、射的やヨーヨー釣り、金魚すくいとかで浮かれて、思わず手を離して、迷子になってしまった。

 

 何処を見ても、人がいっぱいでその時は一生、家に帰れないと思って泣いていたっけ、、、

 しかし、声をかけてくれた女の子が静だった。

 そして、その時の静に


 「迷子?大丈夫?お父さんやお母さんは?」


 と言われ、離れて分からないと答えて、


 「お姉さんが探してあげる。だから、心配しないで!!」


 と言われ、静に手を繋がれ、手を離した先に両親が見つけてくれたんだっけ?

 その時の静は僕にとってはかけがえのない憧れのお姉さんだったっけなぁ。って感慨深い時を思い出した。


 今は、ベッドの横で、、、


 「グガー、グガー。むにゃむにゃ。もっとチョコはいっぱいに、、、」


 とこのザマだ。


 だが、あの頃の俺にとっては、かけがえのない憧れのお姉さんには違いなかった。

 立場は逆転したが、あの時の静のように頼りになる存在になりたかった。

 そして、今じゃ妹の琴音も大きくなり、僕が中学の時は朝一から料理を作っていたから、少しは頼りにされていたかな?

 そう思って、朝食の用意をしてたら、


 「啓兄。今日の朝ご飯は何だ?」


 と言われ、今じゃ、家を出て、朝は琴音の代わりに静に頼られる存在になった。


 昔の事を思い出したが、頼られるのは意外と性分に合ってるかもしれないってちょっと含み笑いをしながら、


 「手軽に作るフレンチトーストとサラダだ。」


 と答え、静ははしゃいでいる。


 僕は高校生になったが、世間じゃ、まだまだ子供だ。でも、その子供に頼る100年生きてる天使がいる。なんか、滑稽で可笑しくなった。


 こんな生活を続けて、もう慣れた。そして、何とも感慨深い高校時代を生きてるのだな。と、この高校時代を楽しく生きてるな。と感じられた。

 もう、静は立派な家族だ。かけがえのない家族が一人増えて、良かったかもしれない。それに昔、憧れたお姉さんがまさか妹になるとは思ってみてもなかった。


 そう、思った感慨深い朝だった。


 

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