恋愛ごっこ

パンチ☆太郎

第1話

 男子4人、女子4人が、とある島に集まってやることと言えば、相場は、恋愛と決まっている。

 しかも、成人にも満たない高校生の青臭いガキどもだ。

 制服を着た高校生たちは、海が透き通った色をしている無人島に集まった。

「こんにちは」

「こんにちは」

「こんちわー」

 キャリーケースをころころと転がしながら、全員が集まるのを待ち、それが確認できるととある建物に集まった。

 半袖の制服であるが、シャツに汗が染みている。

 女子高生のほとんどは、べたべたと日焼け止めを塗りたくっていた。

 ペンションにつくと、玄関のようなところに、八人分の座椅子と、丸テーブルがあった。

 そして、二つの部屋の鍵である。

「男部屋と女部屋ってこと?」

 ある女が呟く、この女の名前は、園田あかり、17歳。ゆるいパーマをかけており、ナチュラルメイクであった。鼻筋が通っており、くっきりとした目をしていた。

「そうらしい」

 男が呟く、身長178cm。左右に前髪が分けられており、細マッチョであった。顔は整っている。というか、ここにいる人たちは金太郎あめのように没個性的なので、顔面に関する記述は割愛させてもらう。

 美男美女が集まっていると思ってもらえればよろしい。

 男の名前は、鈴木宗光であった。

 この男女は、自ら望んで、この島にやってきた。集合場所と泊まるホテルだけが示されており、それ以外は自由であった。

 食費や宿泊費以外の予算は、自由であった。といっても、親の金であるから、その辺に関する心配は彼らはしていなかった。

「取り敢えず、自己紹介しない?」

 集まってから彼らはぽつぽつと話し始める者はいたが、全体に向かっては話していなかった。八人は、丸テーブルを囲んで座った。

「じゃあ、誰から自己紹介する?」あかりは言った。

「じゃんけんで決めない?」

「じゃあ、勝った人から時計回りで」

 テーブルの周りは、男子と女子で分かれて座っていた。

 男男男宗光

 丸テーブル

 女女あかり女

 こういう具合である。丸テーブルにもかかわらず、向かい合うように座っている。わざわざ椅子を動かしたのだ。

 左から二番目の男から、自己紹介することになった。すると、あかりの右隣の女から提案があった。

「せっかくだから下の名前だけでよくない?」

「いいねそれ」

 一同はそれに同意した。

「かいとです。趣味は、ゲームとかYouTubeです。よろしく」

「むねみつです。趣味は、筋トレとサッカーです」

「りなです。趣味はネイルと、tiktokです。INFPです」

 男の何人かは、きょとんとしていたが、この場の共通事項であることを悟り、指摘せずに進もうとしたが

「かいとくんとむねみつくんは?」りながそれを聞いてきたので

「あ、いやえっと、なんやっけな」

「だいぶ昔にやったからな」

「もう、自分のMBTIくらい覚えといてよ」

「あかりです。趣味は料理とネットフリックスで韓国ドラマを見ることです」

「あかりちゃんは?」

「私も覚えてなくて」

「女の子なのに?」

「うん...」

「ひなです。趣味は、ポロです。よろしくお願いします」

「ポロって何?」

「馬に乗ってやるスポーツだよ」

「ふーん。馬に乗ってるんだ」

 りなは早々に会話を切り上げる。いつの間にかりなが仕切っていた。女子の数人は、それを冷ややかな目で見ている。

「さらはです。趣味はテニスと恋リアを見ることです」

「いいよね。今日好きとか」

「そうそう、一番よかったのは、卒業編だね」

「分かるわー。ああ、ごめんごめん、次男の子だよね」

「よしおです。趣味は、野球とアニメです」

「よしおくん、がっちりしてるもんね。どこ守ってるの?」

「サードです」

「サードってどこだろ、野球分かんないからな」りなは分からないと言いながら知ろうとはしなかった。余り続けてもよしおもいいとは思わなかったので、説明しないことにした。

「れくです。趣味は、バスケです。好きなタイプは優しい子です」

「お、タイプ自己申告来たか」全員恋愛をしに来ているのに、自己紹介では、あまりお互いのことは分からなかったようだ。

 自己紹介が終わると、しばらく沈黙が続いた。

「とりあえず、部屋に荷物置いて、ご飯にしようよ」仕切りたがりのりながそういうと、それぞれ部屋に入る。

 男側の部屋は

「2段ベットが2つだ」よしおがそうつぶやく。

「どこにする?」と。れく。

「どこでもいいすよ」むねみつ

「俺は、上がいいかな。下だとなんか怖くて」

「分かるわー。何か上から落ちてきそうじゃない?」

「お、おん」れくは、よしおの言葉に同意できなかったようだが、とりあえず、そうしておく

 ベットの配置は

 部屋の奥に窓があり、左と右の端にベットがある状態だ。エアコンもついている。

 女側は

「えーどこにする」

「私重たいから、上だと下の人潰れちゃうかもよ」

「うける。そんなに重たくないでしょ」

「これからはもっと太っちゃうかもね」

「なんで」

「幸せ太りってやつ?」

「あーなるほどね。私はそうなりそうにないから、下かなー」

「えー地震とか来たらどうするのよ」

「大丈夫でしょ」

「そんなこと言ってたら本当にきちゃうんだから」

「とりあえず、右端にしようかな。何か落ち着くと思う」

「分かる。右端って何か落ち着くよね」

 女の方は、中身のない会話を繰り返しながら、寝る場所を決めていた。男たちは、最初にいた、丸テーブルの部屋に戻っていた。

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