アストラリス:星と雪 ― パート3
「コスミック学棟」
最初に訪れたのは――コスミック学棟。
建物は透明な結晶の立方体の形をしており、地上から数メートルほど浮かんでいた。
壁面はゆっくりと回転する銀河のように光を反射し、内部では星雲が脈打つように揺らめいている。
中へ足を踏み入れると、空中に浮かぶ星型の黒板がすっと降りてきた。
魔法を唱えるたびに、文字が浮かんでは消えていく。
ここでは「星の法則」や「宇宙魔術」、そして「古代の天儀式」など――星と空に関する学問が教えられているのだ。
ミラは目を輝かせながら辺りを見渡した。
息をのむほどの美しさに、言葉が出ない。
その光景に、ただ心が呑まれていく。
一方の隅では、星座を描いたパズルが並び、生徒たちが苦戦していた。
「星座の勉強、してないのか?」
誰かのぼそりとした呟きに、周囲からくすくすと笑いが起こる。
「アストラリス図書館」
次の目的地は――アストラリス図書館。
黒いガラスの螺旋塔が、ゆっくりと回転しているように見える高い建物だ。
中に入ると、天井を突き抜けるほどの書棚が並び、
円形のクリスタルテーブルが本を開くたびにオーロラの光を放っていた。
「すごい……本好きには天国じゃん!」
感嘆の声を上げる生徒に、周囲がうなずく。
確かに、読書を愛する者にとって、ここは夢の世界そのものだった。
「アストラリス食堂」
続いて向かったのは、学院のメインホール――アストラリス食堂。
黒い石の壁には金色の星座が刻まれ、柔らかな光を放っている。
中央には長い木製のテーブルが並び、その表面には星の渦を模した紋様が彫り込まれていた。
魔法の蝋燭の光を受けて、まるで本物の星々のように輝く。
天井には流星型のシャンデリアが揺れ、
温かく幻想的な雰囲気を醸し出していた。
厨房から漂う香ばしい匂いに、生徒たちは思わずつぶやく。
「うわ、腹減った……」
「やば、いい匂いすぎる! 絶対うまいでしょ!」
ミラは小さく笑みを浮かべた。――心の中で、同じことを思っていた。
「アストラリス生物研究棟」
そして次に訪れたのは、生物研究棟。
ミラとユキナは群れの中をゆっくりと歩いていた。
入り口近くには、オレンジ色の髪をした青年が瓶を手にして立っている。
その姿に何人かの生徒がひそひそと囁いた直後――
「おーい、レン!」
ユキナが声を上げた。
青年が顔を上げ、二人に気づく。
「お前、こんなとこで何してんだ?」
「んー、ハーブの先生に頼まれて、星雲蝶を集めてんのさ。」
気だるげに答えるレンに、ユキナは軽くうなずく。
レンの視線がミラに移った。
「……そっちは誰だ?」
「ミラ。人間の子で、この学院に選ばれたの。」
「へぇ? ちっちゃいな。」
「うっさい! 詳しくはリリにでも聞け!」
「はいはい、んじゃ俺、もう行くわ。」
レンは肩をすくめて歩き去った。
中へ進むと、空気が変わった。
そこには小さな生態系が広がっていた。
星の森、光る草原、そして星雲の水を湛えた湖。
宇宙の動植物が共に息づく光景――美しく、そして神秘的。
案内役の教師が声を張る。
「ここは生命と魔法を研究する場所だ。見た目は穏やかでも、危険なものも多い。触るな! 絶対にだ!」
だが、その警告の直後――
「先生、これ触ってもいいっすか?」
男子生徒が瓶を掲げる。
「おい! だから触るなって言っただろう!!」
「え? これただのコオロギですよ?」
「それは“眠りの鈴コオロギ”だ! 開けたら――」
遅かった。
瓶が開く音。
チリン…チリン……小さな鈴の音が響き――
生徒はふらりと倒れ、床に倒れ込んだ。
「言ったよな!? 触るなって!!!」
教師が頭を抱える。
だが混乱は止まらない。
「先生、この青い草はなんですか?」
「それは“クリアファーン”! 触ると――」
バキッ。 氷の音。
「うわっ!? 手が! 凍ったぁ!!」
さらに別の女子が嬉しそうに声を上げる。
「この花かわいい~! 触ってもいいですよね?」
「ダメだ! それは――」
遅い。
赤黒い花が開き、金切り声を上げた。
キィィィィン――!
鼓膜を突き刺すような音。
生徒たちは耳をふさぎ、悲鳴を上げ、次々と倒れていく。
やがて音が止むと――静寂。
床には気絶した生徒たちがごろごろと転がっていた。
「はぁ……初日からこれかよ。」
教師が額を押さえてため息をつく。
「まったく、情けない。」
ユキナが短く呟いた。
だがミラは、怖がるどころか――
部屋の隅に咲く光の花に目を奪われていた。
「ユキナ姉、この花、なんて名前?」
「それは“星の花”だ。きれいだろ?」
「うん……光ってる。危なくないの?」
「大丈夫、安全なやつだよ。」ユキナが笑って答えた。
ミラはそっと花びらに触れ、微笑んだ。
その笑顔は、星の光のように柔らかかった。
「天文塔」
研究棟の騒動で倒れた生徒たちは保健室へ運ばれ、
残りの者たちは最後の目的地――天文塔へと向かった。
雲を突き抜けるほど高くそびえる塔。
頂上には、金と青銅で作られた巨大な宇宙望遠鏡が輝いている。
「ここが本日の最終地点だ。」
案内の教師が言う。
「まもなく夕食会が始まる。少しだけ景色を楽しむといい。」
ミラは夕焼けに染まる空を見上げた。
「……きれい。」
ユキナが隣に立ち、同じ方向を見つめる。
「夜になったら、もっときれいだよ。」
「うん……そうだね。」
やがて、ユキナの声が遠くから聞こえた。
「ミラちゃーん!」
「え?」
「みんなもう下りたよ! 早く!」
「は、はいっ!」
二人は駆け足で塔を後にした。
夜が訪れた。
大食堂には全員が集まり、長いテーブルに料理が並ぶ。
香りが広がり、笑い声が満ちていく。
校長のシリウスが壇上に立ち、穏やかに微笑んだ。
「本日、諸君はアストラリス学院を知る旅を終えた。
これより、歓迎の夕食会をもって本日の行事を締めくくる!」
歓声と拍手があがり、
星の光のような魔法がホールを舞った。
しかし――その時。
カラン…!
澄んだ鈴の音が響く。全員が動きを止めた。
教師の一人が鈴付きの杖を持ち、静かに言葉を紡ぐ。
「楽しい時間の最中にすまない。
だが、明日――皆の“魔力適性”を測る特別訓練を行う。」
ホールが静まり返る。
息を呑む音だけが聞こえた。
――明日、何が待ち受けているのか。
❄️────────────────────────────❄️
アストラリスと話そう!🌟
エピソード1 ― アストラリス国立学院の紹介
🎬 オープニングシーン
(ライトがゆっくりと灯る。アストラリスの紋章が刻まれたテーブルを中心に、長いソファが置かれている。
そこにユキナ、レンジ、そしてリリアナが並んで座り、カメラの前で笑顔を向ける。)
ユキナ:
「みんな〜こんにちは〜っ!!✨
『アストラリスと話そう! !』へようこそっ!!」
(声が明るく、瞳は星のように輝いている)
「今日の特別トークショー、進行役を務めるのはこの私っ! アキラボシ・ユキナですっ!」
レンジ:
(落ち着いた声で小さく息を吐く)
「アカマツ・レンジだ。……まさか司会までやらされるとは思ってなかったけどな。」
(横目でユキナを見る)
「本来こういう役は君一人で十分だろ。」
ユキナ:
(むっとして、指を差す)
「なにそれ! 一人じゃ独り言みたいになっちゃうでしょ? それじゃ面白くないじゃん!」
リリアナ:
(優雅に微笑みながら、手を膝の上で組む)
「ふふっ……まあまあ。私はツバキ・リリアナ。二人が騒がしくしても、場を落ち着かせる役は私に任せてね。」
(ユキナとレンジが同時に黙り込み、観客の笑いと拍手音が響く。)
🎬 セグメント1:トピック紹介
ユキナ:
「さてさて! 今回のトークテーマは〜……アストラリス国立学院っ!!🎓🌟」
レンジ:
(真面目な口調で)
「アストラリス国立学院――それは選ばれし者が集う教育と訓練の中心地だ。
普通の学園とは違い、未来のアストラリスを担う人材を育てるための基盤でもある。」
リリアナ:
(静かに頷きながら)
「ええ。学院には多くの部門があります。魔術学、戦術学、調査研究……どれも世界の均衡を保つために欠かせない分野です。」
ユキナ:
(手を挙げて明るく)
「うんうん! でも私にとってはね〜、アストラリスって“第二の家”みたいなもの!✨
仲間もいっぱい、楽しいこともたくさん! もちろん大変な時もあるけど……ぜ〜んぶが宝物なんだ!」
🎬 セグメント2:ちょっとした雑談タイム
レンジ:
(腰に手を当て、呆れ顔)
「“大変”って言うけど、原因の半分は君自身じゃないのか?
廊下を走り回る、授業中に変な実験をする、俺が指導員に呼ばれる回数、覚えてるか?」
ユキナ:
(ぷくっと頬を膨らませて)
「え〜っ、それは“元気”って言うのっ! 私は花火みたいな存在だからね、静かにしてたら意味ないでしょ!」
リリアナ:
(口元を上品に隠しながらくすくす笑う)
「私は静かな方が好きかしら。槍術と瞑想の訓練場は、とても穏やかで……心が落ち着くの。」
ユキナ:
(興味津々に)
「へぇ〜じゃあ、癒しを求めるならリリアナのところだね!」
レンジ:
「で、騒ぎたい時は……ユキナのクラスに行けばいい。」
(全員笑う。ユキナがふてくされながらも一緒に笑う。)
🎬 セグメント3:少女との出会い ― ミラについて
ユキナ:
(再び目を輝かせて)
「さてっ、最後の話題! 今日は特別に、あの小さな女の子――そう、“ミラちゃん”との最初の印象を語っちゃおう!」
レンジ:
(腕を組み、少し考えるように)
「正直、最初は“この子、本当に大丈夫か?”と思った。
でも……彼女には何かがある。普通じゃない、芯の強さを感じたんだ。」
リリアナ:
(穏やかに微笑みながら)
「そうね。彼女の瞳を見たとき、不思議な感覚がしたの。
優しくて儚いのに、同時にどこか……強い光を秘めているような。」
ユキナ:
(少し俯き、そして優しく笑う)
「うん……ミラちゃんは、迷子の星みたい。
でもね、その光を見たら、放っておけないんだ。守ってあげたくなる。
だから、最初から分かってた気がする……彼女は、きっと私たちにとって特別な存在になるって。」
(空気が柔らかく包み込むように温かくなる。三人が顔を見合わせ、静かに微笑む。)
🎬 クロージング
ユキナ:
「よ〜しっ! これで『アストラリスと話そう!』第1回はおしまいっ!!🌟
みんな、楽しんでくれたかな〜?」
レンジ:
「アストラリス国立学院について、もっと知りたい人は……次回を楽しみにしてくれ。」
リリアナ:
(優雅に一礼して)
「またお会いしましょう。星々の導きが、あなたと共にありますように。」
(ライトがゆっくりと落ち、画面に輝くアストラリスのロゴが浮かぶ。)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます