答え②

あの日、ほのちゃんはすぐに帰っていった。

とある約束をして。


「皆さんにお話があります」


いつものスタジオ練習の前に、メンバーから少し時間を頂戴した。


あっちゃんと菜奈さんには、スタジオの丸椅子に座ってもらい、僕とほのちゃんはその前に立った。


「僕は、ほのちゃんとお付き合いをします。これが僕の答えです。」


あっちゃんと菜奈さんはしばらく喋らなかった。

僕は二人から目を逸らさなかった。


すると、あっちゃんが話し出した。


「そっか…教えてくれてありがとう…」


菜奈さんが続ける。


「それがビジンの『答え』なのね?」


「はい」


「負けたのね…残念…とても…」


また、しばらく沈黙が流れる。


「じゃあ、練習しましょうか」


「えっ」


僕は菜奈さんの言葉に思わず声を上げた。


「そうですね!練習しましょうか!」


あっちゃんまで…


僕が驚きを隠せずにいると、菜奈さんが再度言った。


「練習するわよ?」


僕は頷き、ほのちゃんの方を見た。

ほのちゃんも頷いている。


僕たちは、いつも通り練習に励んだ。

その間、会話はほとんどなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る