ライブ③
ライブは1バンド目からかなり盛り上がっていた。
知り合い中心とはいえ、出演バンドそれぞれの友人が来るとなると、それなりの人数になっていた。
ちなみに僕は友人を呼びそびれていた。
初めてのライブでそれどころではなかったのだ。
もっと強いメンタルを持ちたい…
僕たちの出番は3番目だった。
なので、2バンド目の出番が始まった頃には控室にいた。
「緊張するねー!」
そう口にしたあっちゃんは緊張というより、楽しみで仕方ない、そういう風に見えた。
羨ましい。
「そうだね。頑張ろう」
菜奈さんは全くいつも通りに見えた。
緊張とかするのだろうか…?
「頑張りましょう…」
ほのちゃんはそもそも感情が読み取りづらい。
僕は改めて変わり者3人に囲まれていることを実感した。
出番だ。
照明が強いステージからは客席が少し見づらい。
それでも沢山の人がいるのが分かる。
初ステージにしては多くないか?
今更ながらそんなことを考える自分を戒め、ドラムのセッティングを行った。
準備OK
まずは僕から見て右手に立っているベースの菜奈さんに目線を送る。
優しく微笑んでくれた。
次に左手にいるギターのあっちゃんに目線を送る。
ニコニコが止まらないみたいだ。
最後に中央のほのちゃんへ。
こちらを一切見ず、客も見ない。
自身の足元を見つめていた。
現役時代と変わらない姿がそこにあった。
僕はカウントを始める。
「1,2,3,4」
演奏が始まった。
完璧だった。
練習通り、いや練習以上のものが出せたと思う。
気づいたら全5曲を演奏し終わっていた。
僕たちは大きな拍手に包まれながらステージを降りた。
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