第8話 不良学生殺人事件⑧

 小手川は今土井橋捜査一課長と、刑事部長室の前にいる。


「なあ、小手川。お前の推理本当なんだろうな」


「ええ、不確定な気持ちでここまで来てはいません。」


「まあ、てめえが言うなら信用するが、生憎あの男は何というだろうか」


 土井橋は頭をかいて答える。


 さて、当の鳥羽明憲刑事部長の門番の畠山将司参事官は


「断らせてもらう。幾らあなたの頼みでも」


 そう冷酷に一蹴された。覚悟はしていたが、やはり断られるのは悔しい。


「まあ、畠山君の言葉も当然ですね。これはかなり重要です。一般家庭でも難しいことを」


 鳥羽もあまり乗り気ではないようだ。


「もちろん、何もなく手ぶらで頼みに来るほど、あなたは短絡的ではありません。当然証拠があるのでしよう」


 すると、後ろに山名が来て。


「鳥羽刑事部長、これがその証拠です。やはり小手川君の言う通りでした」


 そう言って、彼は鳥羽と畠山に書類を渡した。


「なるほど、これは一考の価値はありそうですね」


 鳥羽はそう畠山に向かうと。


「畠山君。手配を頼みます。上には私から言っておきましたよ」


 そう、命令することになった。


「はあ、でも色々大変そうなので、しばらく時間はかかりそうだな。もう少しばかり証拠でも固めておけ」

 

 放課後ある人間が、歩いている。そこに壁画の壁がありそれを眺めている。そして、笑った。その後ろに近づくものが一人


「何をしているんです」


 それが振り向くとそこに小手川を中心とする刑事がいた。


「あ、いやこの壁の漆喰きれいだなあと思いましてね。眺めていたんですよ」


 その人物は至極平然を装って、小手川の質問に答える。


「はあ、あなたが今更校舎内のことに関して、そんなに美を追求するとは職業病ですかね」


「そんなこと、あなたに言われる筋合いはありませんよ」


 刑事ごときに壁画の美しさなど分からないと思っているのかそんな悪態をつく。


「それは失礼いたしました。寅井武則先生、いや新崎洋輝さん殺害の犯人さん」


 小手川がそう言うと、男が数人やってきた。彼らはヘルメットとハンマーを持っている。


「お待たせしました。今からやるので離れていてください」


 すると、彼らはドリルで穴を壁に開け始めた。ギリギリうるさくなっている。


「ちょっと、何しているんですか。やめてくださいよ」


 そう、顔色を変えて止める寅井を本多と斯波の二人がかりで押さえ込み。小手川が続けた。


「理事長に許可を取っています。他の破壊はしませんので安心してください」


 そのうち、壁が崩れ始めた。その中から鉄骨ともう一つ信じられないものが出てきた。

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