第3話 不良学生殺人事件③
名虎高校は、学校の敷地を囲むように校舎が建っている。そのため、裏門から出ようとするとどうしても校舎の横を通ることになる。
「小手川さん、仮に殺害現場がここでないとすると、どこで殺されたんでしょうか」
「榊原さんの指摘がもっともだ、まずは殺害現場を見つけないといけない。後でもう少し人を呼ぼう」
小手川と榊原は、校舎の裏門から出る。すると、小手川は違和感を覚えた。
それは、今まで感じたことのない、異様な雰囲気。
小手川の第六感が危険だと告げている。しかし、いったい何があるというんだ。
小手川たちが、校門にたどり着くと、そこにはすでに鑑識が来ていた。
「ああ、小手川君。どこを鑑識すればいいかな」
鑑識の先頭に立っていた、ベテラン鑑識の石川和樹が小手川に聞いてくる。
「この高校の隅々です。殺害現場は恐らく別にあるでしょうから」
小手川はとりあえずそう言っておくしかなかった。
翌朝、小手川は本多と共に捜査を始める。しかし、特に何もない。
まあ、こんな外で人がのんきに殺せるわけがないのだ。そもそもいつ誰に見られるか分からないような、不安定な状態でもって殺人ができるわけない。そんなことを考えながら、その時だった。
小手川は急に立ち止まった。
そして、後ろを振り返ると、
「俺は何か重要なところを見逃している気がするんだ」
「ほう、小手川さんがそんなことを言うとは珍しいっすね」
「そもそも外で人なんて殺したら人目に付くと思わないか?」
「まあ、監視カメラのないところを狙うにしても、人の目は避けられませんからね。あっ」
そう言って本多は手を叩く。
「小手川さん、俺の考えを聞いてもらえませんか?」
「ああ、話してみてくれ」
「つまり、犯行は防犯カメラのないところで行われたんです」
そう言って、本多は小手川に自慢する。
そんなこととっくに分かっていたのだが……話の続きを聞いてみる。
「でも、おかしいですよね。外で人を殺すなんて、見てくださいよ」
本多はグラウンドに案内する。
「生徒は部活動をやっているんです。いつここにきてもおかしくないじゃないですか。少なくとも計画的ではないですよね」
「いいことに気付いたな。つまり犯人は新崎の殺害を突発的にやったということか」
「ええ、計画してるなら、ほんとに事件現場の教室で殺せばいいんですからね」
本多が自慢げに話す。まあ、確かにその考えの方が自然だ。
「じゃあ、具体的な殺害現場はどこか分かるか?」
「いえ、そこまでは」
本多が肩を落とす。でも、ここまでわかる時点で大分、捜査の腕は進歩しているといえよう。一同は事情聴取に向かった。
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