人気度で決まるスポーツの実力

@migi_33

一回戦:3倍の大きさで圧倒するアイドル

男性にのみ効果のある縮小デバイスが開発されてから 3 年。女性に効果のある縮小デバイスは開発されることがなく, 男性を縮小させる速度, 縮小度を増大させる研究のみがどんどん進んでいった。

このデバイスは日常でも使われ始め, とあるテレビ局では, スポーツのバラエティ番組としてこのデバイスを使おうというプログラムが始まろうとしていた。


この番組では, アイドルとスポーツ選手がスポーツ対決をするが, そのまま対決したら当然アイドル側が負けてしまうので, 視聴者からの web 応援投票に比例してアイドルとスポーツ選手の大きさの比を決める。そんな番組のレスリング勝負のお話。


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スタジアムのライトが煌めき、観客の歓声がどっと沸き起こる。その中央に、マイクを握った司会進行役のミカが軽やかに飛び出した。


「みなさーん! 今夜の特別エキシビションマッチへようこそ!」

元気いっぱいの声とともに、オフショルダーのワンピースがひらりと舞う。小柄ながら明るさで会場を盛り上げるのは、いつも場を盛り上げてくれる司会のミカだった。彼女の太ももが軽やかなステップごとに柔らかく弾む姿が、観客の視線を自然と奪う。


「さあ、まずはこちらのコーナー! 身長は二メートル四センチ、全身が筋肉の塊! プロレスラー、タケル!」

リングに大男が現れる。隆々と盛り上がった筋肉、浮き上がる血管。その巨体は影だけでもリングを覆い尽くすほど大きく見えた。


「そして反対のコーナー! みんなから愛されるスター!われらがアイドル、レミ!」

観客席から大きなどよめきと歓声が響く中、レミはゆったりとした足取りで姿を現す。161センチの彼女は対戦相手よりはるかに小柄だが、人間離れした長い生脚と、タンクトップに収まりきらない豊満な胸、その存在感は誰よりも際立っていた。

むちむちの太ももが歩くたびに柔らかく揺れ、ぷるんとしたおっぱいがタンクトップを押し上げて、息をのむほどの魅力を振りまく。さらりと流れる黒髪を揺らしながら、柔らかい笑みを浮かべて観客に手を振る。


ミカはすぐにレミのそばへ駆け寄り、マイクを差し出す。

「レミちゃん!相手の人すっごくおっきいけど…… あんな大きさの人に勝てるの!?」


本当に心配そうな声のミカ。レミはミカの大切な友達なので、いくら仕事とはいえど、傷つくようなことがあったら心配なのだろう。

そんなミカの不安に同調するように、レミもマイクに答える。


「うん…… 眼の前で見ると本当に大きいね。背伸びしても全然届かないし……」

彼女は一生懸命背伸びをするが、男の肩にも全く届かないほどで、身長差は一目瞭然だった。


「ほら! これじゃハンデどころじゃないよ!あの筋肉、もし力こめられたら腕ごと折られちゃいそう...」

ミカがレミの腕をちょんとつつきながら、レミを不安そうに見上げるが、当の本人は小さく笑う。


「ふふ……ちょっと怖いかも?」

「ちょっと!?もぉーっ、相変わらずのほほんとしてるんだから!」


ミカは大げさに身を震わせ、不安をアピールしようとするが、もうたくさんだとばかりに大男が一歩前へ出ると、ミカは思い直したようにイベントを進行する。

「最初は手押し相撲で素の力のぶつかり合いをしてもらいます!ふたりとも前へ!」


レミは一歩進み、両手を差し出す。巨漢の掌が彼女の手を包み込んだ瞬間、サイズ差は一目瞭然だった。まるで彼女の手が呑み込まれるように見える。


「始め!」


男の丸太のように隆起した筋肉に比べて、レミの腕はあまりにも細い。その腕を震わせながら必死に踏ん張るが、男は涼しい顔をしながらレミをズルズルと後ろへ通しやっていく。

押し出されないよう必死に耐えるレミと、そのタンクトップが胸をぐっと押し上げる様子をこっそりと見やる余裕すらある男。どちらが勝つかは誰が見ても明らかだった。


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「レミちゃん、どうだった?」


レイナは少し肩で息をしながら不安そうな顔を浮かべる。

「ほんとに強かった!いくら押してもびくともしないし…… このままじゃ負けちゃう……」


ミカはうんうんと大げさに頷く。

「ほら!やっぱり怖いじゃん!タケルさんも余裕そうですね!でもこの勝負は web 応援投票の結果も重要なので!まだ勝負はわからないですよ!」

「うぅ、みなさん、投票お願いしますね!」


本番前の感想をそう締めくくると、web 応援投票が開始された。


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「さぁみなさん!応援投票の結果発表です!我らがアイドル、レミちゃんの獲得投票数が多いほど、対戦相手のタケルさんの身長が縮んでしまいます!」


ステージの大きなスクリーンに応援投票の結果が映し出される。


レミ:75%

タケル :25%


友達のレミの大幅な勝利にミカは思わず飛び上がる。

「さぁ、結果が出ました!我らがアイドルレミちゃんが 75% でリードです!つまり……」


ちらりとアスリートの方を見やると、すでに彼の体はシュルシュルと縮み始めていた。見上げるほどであった彼の体が、見下ろしていた女性たちの身長を下回っていく。


「おぉ……」


男が縮んでいく様子を半分驚き、半分感心、といった様子で眺めるレミ。背を比べるために、男の近くへとゆったりと近づいていく。

実際に縮んでいる男の方の驚きは、レミの比ではなかった。結局元の三分の一、68cm にまで小さくなり、今やレミの腰ほどの高さで彼女を見上げることになってしまった。


「……う、うそだろ……?」

足元から聞こえる声に、アイドルはゆっくりと腰を落とす。その目線は、まるで子どもを見るような優しいものだった。彼女の巨大な胸が影を落とし、男を柔らかく包む。


「本当にちっちゃくなりましたね…… ふふっ、“今なら勝てるかも”って思っちゃいます♪」

「あははっ!余裕だね~!」


ミカは笑いながら、友人の肩に軽く手を置く。

ステージの上で和気あいあいとしている二人の女性と、それを膝下で見上げる小さな男。その構図は、サイズ差を鮮烈に際立たせていた。


「タケルさん、ちっちゃくなっちゃいましたが、今のお気持ちは?」


グイッとマイクを近づけられ、ムッとした表情の男は、強気に答える。

「どんなサイズになっても関係ない!眼の前の相手を打ち倒すだけだ!」

「あら、怖い!」


クスッと笑いながら男のコメントを受け流したミカは次にレミにマイクを向ける。

「レミちゃんはどう?さっきはすっごく威圧感あったと思うけど」


「うーん……でも、こうして見ると……」

アイドルは軽く首をかしげ、しゃがみ込みながら彼を覗き込む。

「かわいく見えちゃいますね」


「なっ…… かわっ……!? ナメるな!」

アスリートが顔を赤くし、アイドルにきっと睨み返すが、美少女二人の長い脚に囲まれた空間でちっぽけな男が怒りをあらわにしても、その“威圧感”はもうどこにもなかった。


「ふふっ、これからが本番ですから♪」

余裕のほほ笑みを浮かべながらレミは男を見下ろす。


「お互い、頑張りましょうね……?」

「……くっ……!」


こうして、レスリングマッチ一回戦が始まった。


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試合が始まると同時に、男は低く構えた姿勢のまま闘牛のようにまっすぐと突進し、レミの太ももに押し倒そうとする。バカにしたような発言が彼女たちから続いたのもあり、ボコボコにしてやろうという気持ちも強かった。

しかし、そんな気持ちのこもった突進も、レミにとってはなんでもないようであった。目をパチクリさせ、首を傾げながら男を見下ろす。


「んー、押したり引いたりしてますけど…… これがレスリングなんですか?」


その言葉に焦った男は更に力を込め、「うぐぅぅぅぅぅ」と声を出すが、棒立ちのレミの美脚を動かすことはできなかった。後ろではミカがクスクスと笑いながら実況している。

「すごいっ!さっきまであんなに強かったタケルさんが! レミちゃんに全く太刀打ちできません!」


必死な男の様子をしばらく眺めると、ふぅ、と小さくため息を付く。

「じゃあ、私も押してみますね?」


そう言ってかがみ込むと、男の頭上で巨大すぎる胸がゆさゆさと揺れる。その圧巻の光景に気を取られている間に、レミの手が男の肩にかかったかと思うと、


「えいっ」

ズンッ!!!!!!!


少し体重を込めて軽く押しただけで、男は膝から崩れ落ちてしまう。そのまま男を寝転ばせるように倒し、両膝をズシン!と男の上で跨ぐと、レミは男の胸の上に座った。


「んしょっと」

バランスを取るように彼女が軽く体を揺らすと、その重みはしっかりと男へと伝わる。


「ぐぅぅぅっ……!」

まるで大人が暴れる子供をあやすかのようにあっさりと押さえつけられてしまい、くぐもった声を上げるしかないプロレスラー。抜け出そうと必死に太ももを押したりぺちぺちと叩いたりしてみるが、当のアイドルは全く意に介さない様子で男を見下ろしていた。


「えーっと……このまま相手が抜け出せなかったら、私の勝ち、ですよね?」


あまりにも簡単に事が運んで拍子抜けしたのか、少し心配そうな声で審判に顔を向けると、そのまま「ワン、トゥー、スリー!!!」というカウントコールが続き、試合終了。決着は一瞬でついてしまった。

web の盛り上がりは試合終了のコールとともに最高潮に達したが、レミはまだ状況がよくわかってないのか、タケルの胸の上に軽く跨がったまま、首を傾げて周囲を見回す。男が必死で身をよじり抜け出そうとする中、その上空は、アイドルの美しい黒髪カーテンと、豊満なおっぱいに支配されていた。


「試合終了です! あははっ、レミちゃん、圧勝だったね!」

「うん、ありがとう…… 私の勝ち、なんだよね?あっさりしすぎててこれでいいのかなって思っちゃったけど…… タケルさん、大丈夫ですか?」


息も絶え絶えで大の字に寝そべる対戦相手と、それを心配そうに覗き込むアイドル。

男の身長を軽々と超える魅力的な美脚と、それに見下されるちっぽけな男。

カメラが映し出したそのコントラストは、男がいくら鍛えたところで女性の魅力の前には無力なのではないかと思わせるほど強烈な光景だった。

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