第一章
1−1 第1話 彼との出会い
空を見つめることが好きだ。
見つめている時だけは逃げることができるから。
自分の現状から。この世界から。
と、その時空が光ったような気がした。
「?今、何か…」
目を凝らしてよく見てみると何かが落ちてきているようだ。
こちらに。
「そこの貴方!避けてください!」
「え?」
どさり、と落ちてきた物…人?に上に覆い被さられる。
「ゔっ」
どうやらしっかり直撃したようだ。
身体中が痛い。
「あいたた…。この”翼”、飛べないのについてるんですか?」
「っ、?」
鈴を転がすような綺麗な声、
僕はこの声を知っているような気がした。
というか、今この人翼って言ったような…。
まさかと思い背中の方に視線をやる。
すると明らかに人間の物ではない部位があった。
そう、白鳥のように白く、美しい翼であった。
「えっ!?」
自分でも驚くくらい大きな声が出た。
いやまあ、普通の人間である限り驚くだろう。
その時、声に気づいたのか彼はこちらに視線を向けた。
すると彼は微笑み、
「ああ、申し訳ありませんね。ニンゲン。今退きますから…」
と、一言。
僕は頭に抱いた疑問を隠しきれず思わず聞いてみる。
「あ、あの…貴方、何者ですか?」
「…覚えていないのですか?」
「え?」
いや…こんな印象強い人に会ってたら忘れるわけない。
そもそも人なのか?この人。
思いもしていなかった言葉に困惑していると
彼がこう言った。
「まあ、ワタクシも貴方のことを存じ上げていませんが。」
「…はあ、」
…まじで何なんだよ…
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