超大手人気男性VTuberが俺の隣の部屋で実は女の子!?しかも同じ学校の学年一の美少女だし恋愛相談もされるし……もう情報量多すぎて処理できません!!!!
星宮 亜玖愛
プロローグ
「はい、じゃあ今日の配信はここまでにしまーす!みんなスパチャありがとーね!」
そう言って俺は同接1100人の配信を閉じた。
ゲーミングチェアの上でぐっと伸びをして溜息を一つついた。
「ここからは趣味の時間っと…」
そう独り言ちながら動画配信アプリの
「『姫野れい』っと」
俺の好きな大手企業男性VTuberの『姫野れい』をWhoTubeで検索してライブ中の配信を開く。
広告が再生されてゲーミングチェアの背もたれに体重を預けた瞬間、
「わあああああああああああああああああ!!!!」
「わっ、びっくりした」
隣の部屋から聞こえた高い声の突然の悲鳴に驚いて預けた体重が返ってきてしまった。
「壁貫通するくらいの悲鳴って…」
ゴキブリでも出たのかな。
そんなことを考えていたら広告が終わってれいくんの配信が再生された。
『わあああああああああああああああああ!!!!』
…………え?
な、んで…?
ぐるぐると回る思考がある一つの仮説を導き出す。
って、さすがに考えすぎだよな。
『びっくりしたーーー!!』
どうやられいくんはホラゲーの実況をしててそれでびっくりして叫んじゃったみたいだけど…
考えすぎ…うんそうだ。
声の抑揚とかトーンとか長さとか大きさとか声質とか隣の部屋から聞こえた声と全く同じだった。
「そんなわけないか」
肝心の声の高さは全然違ったもんな。
何考えてんだ俺は。
「配信のしすぎで疲れてんのかもな」
ここ数週間で登録者が五万人に増えたからここしかないって思って長時間配信しまくってたから疲れがたまってたのかもしれない。
でもそのおかげで来月からある有名な配信者がたくさん集まる
クレイジータウンはGTCのストリーマーサーバーの中でも一番大きいもので登録者何百万人とかの大物も参加する町だ。
まだ他に誰が参加するかはわかっていないけど前回前々回とれいくんも参加していたから会えたらいいな。
そんなことを思いながらぼんやりとれいくんの配信を見ていたら急に俺の名前が呼ばれた。
『みんな最近勢いすごい
葵木依織は俺の配信してるときに使ってる名前だけど…これは俺のことを言ってるのか?
なんで…?
『その人がこのゲームしてて見てて面白かったからやろうと思ったのさー』
え…てことは俺の配信をれいくんが見てくれてたってこと!?
ヤバい嬉しすぎる。
『でもこのゲームこわすぎるよーー!!なんで依織君あんな平気そうにできたのー!』
登録者100万人のVTuberが俺のことを認知してくれてるという事実がうれしくてうれしくて仕方がなかった。
やばい俺今日死ぬのかな…
嬉しさと少しのむずがゆさに支配された体はいつの間にか赤スパを送っていた。
【《¥50,000》初めましてれいくん。弱小配信者の葵木依織と言います!ただいま話題に取り上げていただいたので感謝の気持ちとして僭越ながら赤スパを送らせていただきました。私が配信を始めた理由であるれいくんに認知されていてとても嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しています。大好きです。】
『えぇぇえええ!なにこれ!!依織くん面白すぎるよー!』
:なんだよこれwww
:堅すぎだろ依織くんwwwwww
:公的文書ですか?
:これはきれいなオタクw
:大物になる予感wwww
:やばいおもろすぎるwwwwwww
:配信者らしからぬ赤スパをしている人がいると聞いたのですが、場所はここであってますか?
:チャンネル登録してきたwwwww
あれ?なんかコメント欄が盛り上がってる?
もしかして変なこと言っちゃったかな…
やばい、やらかしたか?
そう思った次の瞬間全身から血の気が一気に引いていく。
極度の興奮で正常に機能していない脳みそはある一つの結論を導き出す。
「炎上する…!」
生きた心地がしなかった。
炎上なんてするはずのないのにそう考えてしまうほど錯乱していた。
だがそんな気持ちもすぐに消え去った。
それ以上の衝撃で逆に一気に冷静になった。
『依織君今度コラボしようよ!』
……………………………………………え?
聞き間違いかな?
いやでももし聞き間違いじゃなかったら…
確認するべき、その結論に至った俺は再び赤スパを投げるとともに質問を投げかけた。
【《¥50,000》聞き間違いだったらすみません!いま今度コラボしようって言いましたか?】
『え、言ったけどさ…』
あ、この反応は冗談で言ってたやつだ。
やらかした今度こそ本当に炎上だ。
ネタとガチの判断もつかないなんて配信者失格だ…
:やっぱりぶっ飛んでるわこの人wwwww
:なんでわざわざ赤スパでこんなこと質問してんだよww
:もしかして石油王の息子とかですか?www
:たぶんれいくんのガチオタクだwwwww
:大物になる予感(2回目)
:この人のありとあらゆるSNSフォローしてきたわw
:しかも依織君5万×2だぞwwww
『リスナーさんの言うとおりだよ!お金の無駄使いしないの!』
え…あ、そういうこと?
なら炎上はしない…?
『コラボの件はこの配信終わったら決めるから依織君はスパチャ禁止ね?分かった?』
じゃあ本当にコラボしてくれるってこと!
嬉しい、嬉しすぎるよ。
【《¥50,000》はい!分かりました!もうしません!!】
:こいつwwwwwwwwww
:だめだこりゃwwwwwwwwww
:大物になる予感(3回目)
:サブ垢でもフォローしてきましたw
:この人は石油王ですか?
:5万円×3=15万円…終わりだよこの人wwwwwww
そのあとのれいくんの配信内容が全く入ってこないほどには興奮していたがスパチャを送るのは何とか我慢した。
そしてれいくんの配信が終わってからスイッターにフォローリクエストと共に一軒のDMが届いていた。
『コラボの件なのですが一応事務所に確認してからで良いですか?確認と言っても二つ返事で許可してくれると思います!一応私学生なので今週末に打合せしましょう!』
確定ではないものの憧れの人とコラボができるという事実が嬉しくてれいくんの配信の時とは違う一人称に気づくことはできなかった。
その後打合せの日時を決めてかられいくんとのDMは終わった。
「今日はいいことがありましたっと」
ベットの中でスイッターに投稿する文章を打つ。
今日のれいくんの配信の例の部分の切り抜きと共に投稿した。
何気なく投稿したスイートがあんなことになるとは知らないまま俺は眠りについた――。
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