サイハテの反逆者

月白

プロローグ

滅びの大地、果ての世界——【サイハテ】

 120年前、突如世界に訪れた大災害。一足踏み入れれば最後。生きとし生ける者すべて、死へと誘う禁足地

 平穏を享受していたラディオル大陸の人々にとって、サイハテの出現はかつてない衝撃だった。

 

 古の盟約。古くから語り継がれる物語り。

 始まりの王は精霊が守護せしラディオル大陸へと足を踏み入れ、この地に国を築かせてほしいと許しを乞うた。

 精霊は始まりの王と1つの盟約を取り交わす。

 

 この土地へ住まう事を許す代わりに、我らが選び決める者を王として国に据え置く事。さすれば、永遠の平穏と安寧が約束されるであろう。

 

 それがラディオル大陸。


 人々はサイハテの出現に惑う。

 これは精霊の裏切りだ。人間への反逆だ、と。

 不安と恐怖は人々をあっという間に支配した。


 精霊と魔法に不信を募らせる混沌の時代。

 触らぬ神に祟りなし。臭い物に蓋をする。問題を先延ばしにし、放置されたサイハテへ、訪れ彷徨う、酔狂な人間が現れた。


 彼の者を人々は、サイハテの生ける屍と呼んだ。

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