ep7.帰り道同じ人いたら気まずい。
現代 千葉県某所...
「あーもう無理....、もう胃の中全部出し切った!こっから先はニンジン一片も吐きません。てかタイムリープも二回目で慣れたし!もう余裕でsゥウ”ォエ”ッ!!」
「フッ....、最初の方は、「俺は慣れたから大丈夫。」とか言っとったわりに滅茶苦茶ゲロっとるのう。哀れ哀れ!まぁわしはもう慣れてるからよゆうdボゥゲェオ”ッ!」
「ちょっと、二人共そんな吐いて大丈夫ですか?特に特人さん凄い臭いからもう出さないでくださいね?」
「何で俺だゲェォ”ウ”!」
俺とナノハとサキちゃんの三人は、現代に帰ってきていた。
時刻は23時頃。
俺達は闇夜の中ゲロを思う存分に吐いていた。
「っていうか...ここ千葉じゃん...。二人共、地元はどこなの?もう遅いし、あんま遠かったら終電なくなるかもよ?」
その時!脳裏に電流が走る!!
(....いや!!これは好機では!?二人共終電がなくなれば帰宅は困難になるはずだ!となれば、あとは俺の家に泊まるしかあるまい!!)
「....そこで提案なんだけどさ、よければ俺ん家泊まってく?俺ん家ってすぐそこだし、せまいから同じ布団で寝ることになるかもしれないけど、俺そういうの全然気にしないタイプだから__」
「あ、大丈夫です。私も地元千葉なんで。」
「あ、わしも大丈夫じゃ。ここ地元じゃから。」
「あハイ。」
(クソがッ!!なんでみんな千葉県民なんだよ....!あの未来人、面倒だからって千葉県内の近場だけで人間探してんじゃねぇか...!!)
俺の目論見はわずか3秒で失敗に終わった。
この無念を二人に悟らせないよう、俺は気丈そうに明るく声を上げる。
「よ、ようし!なんか及川が明日また未来に来るように言ってたし、今日はこの辺で解散しますか!お疲れ!」
「そうですね。私も今日はこれで帰らせていただきます。お二人共また明日!」
「うむ!わしももう帰るとする!今日は訳が分からんことが多くて疲れたぞ...」
こうして俺達は別々の道を歩いて帰ることにした。
ここで、この目まぐるしい今日という一日は幕を下ろすこととなる。
....ハズだったのだが。
俺は転んだら腕立て10回やってから立ち上がる男!!
この好機、ただでは逃すまい!!
(....さぁ!ここからが本番だ!今から俺は『気づいたらそこに』を使ってサキちゃんの背後に回り込む....!言っておくが、これは断じてストーカーなんかではないッ!夜遅くにあんな美少女が一人で歩いていたら危険だろ!俺には彼女を守る責務がある!!)
俺は少しの時間を置き、作戦を実行した。
「特能!『気づいたらそこに』!!」
現代で特能が使えるかどうかは賭けだったが、無事に俺の特能は発動した。
そして俺の目の前に、暗闇に溶け込むような美しい黒髪ポニテが出現する。
(やはり、この特能は音や気配を感じさせずに真後ろに回り込むことができる!!ここは一旦息を止めて、近くの電柱の影かなんかに移動だ!!)
俺は呼吸で気配を悟られぬよう、息を止めて少しだけ距離を取った。
(よし!バレずに距離を取ったぞ....!!ムフフゥ!!あとはサキちゃんをストーキング....じゃなくて無事に見届けるだけ!!)
俺は電柱の影からサキちゃんを見守る!!
.....しかし、俺はとある違和感に気が付く。
(あ、あれ?サキちゃんも、俺と同じ姿勢だな。郵便ポストに身を忍ばせ、まるで何かを見守るような.....)
その時!またもや脳裏に電流が走る!!
サキちゃんの怪しげな目線の先.....そこには見覚えのあるロリッ娘、ナノハが居たのだ!!
(まさかこの
そしてそれと同時に、気がついた。俺は今、異常な状況に身を置いているということに.....!!
それは、まさしく、『二重ストーカー』!!
(いやいや、落ち着け俺!俺は微塵の濁りのない善意で、サキちゃんのためにストーキング....じゃなくて、見守り活動をしているだけ!!きっとサキちゃんも俺と同じで、曇りなき完全な善意でナノハを見守っているだけだ!不純な思いなんて何一つないハズ...!!)
ここで、数メートル先を歩いていたナノハが独り言を溢した。
「あ~あ、今日は疲れたのー。でも、まさかわしが守備力全振りとは...。正直あんま嬉しくはないが、特能に目覚めただけ良しとしよう!明日も頑張るぞっ!」
その後ろに居た
「じゅるり.......一人ではしゃいじゃって、可愛いですねぇナノハちゃぁん。いつか私の手で(自主規制)して、(自主規制)した後、たっぷりと(自主規制)させて、最後には(自主規制)(自主規制)(自主規制)ですよ...!ふっふっふ!!」
(駄目だァーー!!不純だァーー!!)
いや、これはもう不純なんて域じゃない!!最後の方なんて、自主規制されすぎてて九割何言ってるのか分からなかった!!
「こ、これは俺が止めるべきなのか?ここでサキちゃんを止めないとナノハの貞操が危うい...!しかし!今俺が出て行ったらサキちゃんをストーカーしていることが発覚してしまう...!」
俺は今、人生最大の決断を迫られているのか!?
「クソッ!一体どうしたら...!」
その時!!俺の肩にポンっと手が置かれた!!
「な!?何奴ッ!!まさか未来からの刺客__!」
俺はすぐにその手を振り払い、後ろを振り返るっ!
そこに居たのは....!!
「いや警察なんだけどね。お兄さん、今何してたのかな?ちょっと話聞かせてもらっていい?」
(ぽ、ポリスメェェンッ!!)
ま、ままままま、マズイ!!このままでは俺がストーカー女をストーカーしている最上位変態野郎になってしまう!!
それだけは何とか阻止しなければ....!!
「ち、違うんですよ!!ホラ!あそこの女の人見てください!!あの人が前方のロリ...じゃなくて、女子中学生をつけているんです!!」
「あそこの女の人って...あのポストの裏に身を潜めている女性...?」
すまないサキちゃん!!ここは保身に走らせてもらうぜ!
警官はサキちゃんの方を見た!
「あぁナノハちゃん...。(自主規制)(自主規制)で(自主規制)(自主規制)して(自主規制)(自主規制)...!!」
(サキちゃんッーー!!!)
最悪なタイミングだったァッ!!まさか警官に聞かれてるとも露知らず、あんな数の自主規制を連発してしまうなんて...!!
警官の様子を、チラッ....
「こちら3丁目。ただいま二名の変質者発見。内一名は危険性アリと判断。応援求む。」
(応援呼ばれたッーー!!)
ヤバいヤバい!サキちゃんが超ど級の変質者だと思われてる!!
まぁ事実だけど!!
「け、警官さ~ん...!あの人、あんなことは言ってるけど、そこまで悪い人じゃないんですよ!だから応援は大丈夫ですよ、きっと!!」
「しかしキミねぇ...、あんな自主規制の数、初めて聞いたよ...!彼女を野放しにしておくのは千葉の平和に関わってくると思うのだが...」
俺がなんとか事態を収拾させようと、警官の説得を試みている。
しかしその時、前方の彼女が反応をしてしまった...
「....なんか後ろから話し声が、今いい所なのに.........って特人さん!?」
「あっ...」
俺とサキちゃんの目が合う。
そしてそれに連動するように前方に居るナノハも.....
「なんじゃ、後ろがやけに騒がしいのう。いったい何の........ってなんで二人がおるんじゃ!?」
「あっ...」
「あっ...」
____________________
警官「あのねキミ達、お互いが知り合いだからって夜中にあんなコソコソしたら変質者だと思われちゃうからね?特にずっと凄いこと言ってたキミ。長い事警官やってるけど、あんな自主規制の量初めて聞いたよ...。気を付けてね?」
道端でお互いが知り合いであることを説明した俺達は、何とか警官からの注意だけで済んだ。サキちゃんは顔を赤面させながらひたすら頭を下げていた。
サキ「ひゃ、ひゃいぃ~!!....うぅ、恥ずかしいぃ~!」
特人(いや恥ずかしいのはずっと聞いてたこっちなんだけど...)
ナノハ(ってか凄いことって、何を言ってたんじゃサキは。なんか凄い怖いんじゃが....)
警官「じゃあ君たち、気を付けて帰りなよ~。もう警察につかまらないようにね~。」
警官はそう言うと踵を返して、夜の千葉に消えていった。
特人「オッスお世話になりましたァ!(あっぶね~、俺がストーカーしてんのバレんくて良かった~!)」
サキ「これからは気を付けますっ!!(あんな自主規制を特人さんに聞かれてたってこと~!?どうしよう、もう紫電で記憶なくすまで感電させるしか....)」
ナノハ「す、すみませんでした。(なんでわし謝ってるの?ってか結局なんで二人はわしの後ろに居たの.....?)」
こうして、今日も千葉県の平和は守られたのであった!!
続くッ!!
ナノハ「えと、結局なんで二人はわしの後ろに居たんじゃ?」
サキ&特人「......」
ナノハ「なんじゃ?もう警察の人も居なくなったし、話してもよくないか?」
特人「......よし!解散!!」
サキ「えぇ!おやすみなさいお二人共!」
ナノハ「えちょっと!なんなんじゃ一体ぃ~!」
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