ドキドキがうるさいの

あおじ

ドキドキがうるさいの①


 夜の道、人気ひとけも街灯もない道をひたすら走る。

 ゼイゼイと息が乱れ、ドキドキと心臓が痛いくらい脈打つ。

 疲れた、走りたくない、もう休みたい──そうは思うのだが足は止められない。

 だって、だってだってだって! 私の後ろを追いかけてくるストーカーがいるのだもの!


「~~っ! ~~~~っ!!!!」


 大きな声で何やら怒鳴っているが、聞く耳なんて持つものか。足を止めては殺されてしまう!

 3ヶ月程前から突然姿を現す様になったストーカー。友達に言っても全然信じてもらえなかった。だからもう諦めて、私だけ我慢すればいいと思ってたのに……。

 チラリと後ろをみやれば、ストーカーは腕を振りかざしていて……その手には光るものが見える。あれはおそらく私を刺し殺す為のナイフだろう。

 あぁ、我慢なんてせずにもっとちゃんと対処すればよかった! まさかこんな強行に及ぶだなんて!!


「死にたくない、死にたくない、死にたくないよぉ~!!」


 ボロボロと流れる涙を拭うこともせず、叫び、走り、凶刃から逃げ続ける。

 痛い、痛い。ドキドキと高鳴る心臓がとても痛い。

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