101話目の怪談

@muchimou

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 そしたらその電話の相手、こう言ったんだって。

―――お、ま、えの、うしろ だよーっ!!


 ってね。ハハハ。みんな怖がりすぎじゃない?これけっこう有名な怪談だと思うけど。私ももう何回ひとにこの話したか覚えてないくらいだし。百話目の大トリがこんなベタな話だなんてね。まぁしょうがないよね、ネタ切れだし。


 これでようやく百話達成ね。なんかけっこう疲れたよね、怪談百話も知ってるかっつの。稲川家の順二君じゃあるまいし。


 ま、とにかく蝋燭消すよ。最後の一本。これって吹いた方がいいかな。それとも手でパタパタやる?お線香的に。あれって吹き消すのあんまよくないらしいね。婆ちゃんが言ってたよ、よくさ……


 え?別に時間稼ぎしてるわけじゃないわよ。そりゃちょっとは怖いけどさ、だって本当に百物語して蝋燭が最後の一本だもん。緊張くらいするでしょ。本物のオバケが出てきたらどうするかとかさ……


 うーん。ていうか、この最後の一本だけ火がついてるのが逆に怖いよ。ほら皆の顔がぼんやりと闇に浮かび上がってさ……怖いから消した方がマシだね。じゃ、321せーので消すよ。


 3、2、


 あっ、やっべ倒した。倒しちゃった。大丈夫?テーブルに火ついてない?大丈夫か。あ、ていうか火消えちゃったね。オバケは?……っているわけないか。そりゃそうだよねぇ。


 なーんかさ、百物語っつってテンション上がったけど最後の方けっこうグダグダだったよねえ。話のネタは切れるし、記念すべき蝋燭百本目は倒すし、……オバケは現れないし。


 でもなんかこうやって真っ暗の中で喋ってると面白いかも。




 ……ね、


 もうちょっとだけやらない?

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