某誌のネット記事
某誌のネット記事「警察、消防、テレビ局、三か所で同時期に発生した体調不良の奇妙な共通点」
〇月〇日、〇〇市の〇〇警察署で10名の警察官が体調不良を訴え、うち2名が病院へと搬送。翌日には同市、〇〇消防署の署員12名が体調不良を訴え、うち3名が病院へと搬送。その翌日には同市のテレビ局、〇〇テレビの社員3名が体調不良を訴え、うち1名が病院へと搬送されるという騒ぎがあった。幸いなことに全員が軽傷で、その後無事に仕事にも復帰している。ニュースでは体調不良の詳細については報道されていないが、全員が共通して空腹に似た違和感を覚え、病院に搬送された6名に関しては、飢餓状態のような症状が現れていたという。
同じ市内で、三日連続で起きた異変とあって、真っ先に疑われたのは食中毒の可能性だった。しかし保健所の調査によると、食中毒に繋がるような原因は発見されなかったそうだ。
同時に警察では、警察、消防、報道機関の市内三か所を狙った事件である可能性も視野に捜査を開始したが、毒物を混入させた形跡や、不審な人物の出入りなどは確認されず、最終的には事件性は無いという判断が下された。
非常に不可解な部分が多い事案だが、最終的には、市内の異なる場所で、同時期に偶然発生した個々人の体調不良であったという結論に至っている。
しかし、小誌の取材によって、一連の騒動で体調不良を訴えた者たちの間には奇妙な共通点があることが判明した。警察署の署員が体調不良を訴えるよりも一カ月前。同市内では、廃墟となっていた山中のホテルが放火される事件が発生していた。被疑者はその場で現行犯逮捕されたが、留置所で病死し、被疑者死亡のまま書類送検されている。この放火事件こそが、体調不良に遭った者たちの共通点ではないかと小誌は考えている。
体調不良に遭った警察官は、通報を受けて放火の現場に駆け付けた制服警官や、被疑者の取り調べを行った刑事、留置場の管理を行っていた署員。体調不良を訴えた消防署員も全員が、放火された廃ホテルの消火活動に関わった消防隊員および救急隊員。テレビ局の社員は、偶然別件の取材で近くに滞在しており、騒ぎを聞きつけ真っ先に現場に駆け付けた取材クルーだったそうだ。
単なる偶然と言ってしまえればそれまでだが、偶然では片づけられない要素がもう一つ存在する。それは放火事件の被疑者の死亡時の状況である。病死と発表されており、実際その死に事件性は無いようだが、被疑者は原因不明の、餓死のような状態で亡くなっていたそうだ。拘留中も食事をちゃんと食べていたにも関わらずだ。程度の違いはあれど、その後発生した、一連の体調不良の症状と似ているような気がしないだろうか?
小誌ではこれからも、〇〇市で発生した一連の騒動についての取材を続けていきたいと思う。続報にご期待ください。
※当該記事は現在削除されている。続報の記事も出されてはいない。
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