第4話 水を求めて

 漫画を読みながら自堕落に日々を消費していた蔵人は、誰と関わることもなく過ごしていた。実際問題として、ここの生徒たちとは一回りも年齢が離れているのだ。なにをどうすればいいというのか。

 蔵人は孤独には慣れていた。しかしそれは現代の、命の危険がない時代での孤独だった。時にその孤独は命を奪うものでもあるのだが、今の場所ではもっと身近に命の危機が迫っている。

 一番の問題が食料であった。特に飲料水の確保は死活問題となっていた。

 ここ数日は貯水タンクに溜まった水でなんとかなったが、それもそこをつき始めている。いま生徒会では水源を求めて森へ入るかを検討していた。

 生徒会長、紫乃宮楓は慎重だった。

楓「危険すぎるわ。それに水源があったとして、その水が飲める保証もないのよ?」

 生徒会副会長花園アレックスも、その意見に同調する。

アレックス「会長のおっしゃるとおりだ。ここはもう少し様子見を……」

 生徒会会計の御影レイジは、真っ向から対立していた。

レイジ「そんな希望的観測をいつまでするつもりだい? 実際問題として、もう数日の水もないんだよ? 食料だって……」

 会議の中、複数人の生徒たちが、生徒会室に入ってきた。三年の川治政宗と野球部員たちだった。

政宗「我々野球部に捜索の許可を与えてくれ!! 我々ならば体力がある、獣が出ても対処もできる!!」

楓「し、しかし……」

レイジ「もう猶予はあまりないよ。ここは野球部の面々に任せよう」

楓「しかたありませんわ。でも、一人大人をつけましょう」

政宗「おとな……?」

レイジ「それって、あの?」

アレックス「それは名案です会長! 一人大人をつけたほうが、たしかに安全だ!!」

楓「愛宕さんはどちらに?」

 今まで黙っていた生徒会初期の白鳥透子は口を開いた。

透子「おそらく図書室に……」

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