エサと愛情
@kasugamasatuki
第1話自暴自棄
話の初めに私はニートである、ニートになってもうすぐ一ヶ月つまり会社で言えば新人が少し仕事に慣れた頃と同じでこの自堕落な生活にも慣れてきた。
慣れてはいけない物なのであるが案外続けてしまうと存外居心地が良くなり、この生活が手放せなくなるほどになったダメ人間である。
無論、最初からそうなった訳ではない。と強く私は否定する。と言うが今更否定したところで唯の言い訳いや、何かと理由をつけて己の自尊心を傷つけない為のだと改めて考えてしまうが敢えて言う。
これでも私は十年近く働いていた、正社員という訳では無いがパートで何回も転々としながらもそれでも仕事を続けていた。
真面目だけが取り柄みたいな私は熱心に取り込んで仕事を続けた。無論怒られる事があってもそれに対して上司に言われた事を直して前向きに仕事を改善していこうという、性格であった。
だけどそう思っていたとしても何故か仕事が続かなくなっていた。嫌になってしまうのだ。
何故か急に行きたくなくなるのだ、その理由は自分ではわからない。何かがつっかえた感じで気持ち悪いのだ。
そうして何件も何件も仕事を辞めていき、ついにはここでこの仕事場で最後にしようと思った場所でも同じ事が起きてしまった。
ただ休むと連絡さえ入れるのが怖くなってしまいそのまま無断欠勤をしてしまいそのまま退職する流れになり、今私は自分の部屋で半引きこもりの状態である。
無論、一ヶ月も一人で自堕落な生活はできない普通なら働いているか、このまま朽ち果て孤独死か。
だがそうなっていないのは…私は肉親と暮らしているからだそう母とだ。
仕事を辞めた事について母は何も言わなかった。
元々放任主義の母はあまり私と関わろうとはしなかった。
その為、「いつはたらくの?」などと言った小言は言わず全て私の判断に委ねているのであった。
私は最初の頃はまたすぐ仕事を見つけて働き出すのだろうと思っての信頼なのかと思い、昔は仕事を見つけてすぐ働いていた。それが母からの無言の信頼への返答だと言わんばかりに。
だがそれが何回も…何回も繰り返してくるうちに私はこの仕事を辞めて新しいとこへ行く事に慣れが生じてしまい段々と何も言わない母に疑念を抱く様になる。
何故何も言わないのか?私は母の信頼に応えているつもりなのにと歪んだ考えが溢れてくる。
それは次第に甘えと代わり…いつになったら母は声をかけてくれるのか?試したくなった。
一週間、とんで三週間そして一ヶ月私は母が声をかけてくれるのを待った。だが何もかけてくれない。
唯一母が私の部屋へと来るのは、無言で扉を開け私の机にご飯を置いていくだけ。そこから何も声を掛けてくれる事は無い。
私はそこで母がもしかしたら信頼していたから無言だったのでは無く。興味が無かったのではと結論づけてしまう。
裏切られたと思ったがそれはあまりにも他責思考であるとまだそういう感覚だけは残っていた。
だが既に遅かった。ある意味、この一ヶ月は母が私を信頼している、確認と仕事に対しての心の傷を癒すつもりでいたのだが、私には既に難病にも等しい病が宿っていた。
偉そうに書くことでは無いが……私は既に自堕落という病に侵されてしまい、もう働くことへの気力が無くなっていたのである。
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