第19話トラブルだらけのニチレン道中
「ここから歩いて半日、午後には着くかな」
そこに町があり王都へ直通で行ける転移装置があるらしい。
文書と一緒に町へ話を通しておく旨と許可証が同封されていた。
「結構歩きますね」
「ハルさんみたいに飛べばすぐなんだろうけどね」
「魔王様!ハル様!行きましょう!」
アーサーちゃんは目がキラキラしている
何もトラブルなく着けばいいな。
1時間後
「トラブルだ…」
目の前に山賊っぽい人たちがいる。
「姉ちゃんたち!その背負ってる荷物、全部置いてきな!」
うーん、どうしようかな。
「魔王様、ここは私が」
「待って、こんなところで人族と揉めたくない」
飛び出そうとするハルさんを止める。
どんな人であれ友好関係を結ぶ以上、揉めるのは避けたい。
「兄貴、こいつら魔族ですぜ、やばくないですか?」
とりあえず食料だけ置いて逃げるかと考えていると、
「シールド・セット」
急に山賊の周りにシールドが張られた。
「なんだこりゃ!」
町の方角から歩いてくる人がいた。
「どうしてあなたが…?」
「ご無沙汰してます、魔王さん」
かつて戦った勇者パーティの一人、ニチレンだった。
「これ、破れませんぜ!閉じ込められた!」
「ここはうるさいですし、とりあえず場所を移動しましょうか」
「あ、うん」
「ふざけんな!出しやがれ!」
「それ、半日くらいで解けますので」
半日はあのままか、ご愁傷様。
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「それで、どうしてあなたがこんなところに?」
「はい、王様から直々に頼まれたんです。魔族だと大変だから面識のある私が城まで案内しろと」
なるほど、話は通してあるとはいえ確かに私たちだけだと町の人間とか混乱するしたどり着くのも一苦労だろうからね。
「でもあなただけ?ほかのメンバーはどうしているの?」
「戦士さんは山で体を鍛えると。魔法使いさんは面倒だからと王都の図書館でずっと本を読み漁っています。勇者さんは放浪の旅へ。多分人助けでもしているのかと」
かなり自由気ままだね。
「それで一つ難所というか…。実は町に入る前に検問があります。えぇと、アーサーさん?は問題ないと思いますがお二人は…」
角と羽で許可証があっても多分捕まる。
「あの町の検問、一度捕まると大変みたいなんですよ」
「何か対策が必要ということだね」
「はい、そこで!最新の変装道具を用意して持ってきました!」
大きなリュックからガチャガチャと何かを取り出す。
かけてると見た目が別人になる眼鏡とかかな、ファンタジーっぽい!
「ありが…」
出てきたのは髭や鼻眼鏡、馬の被り物などどう見てもド〇キに売ってそうなパーティグッズだった。
え?なに?これは?つけろと?私に?メンバー全員で?
「どうでしょう!これを付ければ完璧です」
「えーーっと…」
返答に困っていると
「どうですか魔王様、似合っていますか!」
ハルさんが大真面目で髭と鼻眼鏡つけていた。
「ふぐっ!」
思わず声が漏れる。
ダメだ、笑ってはいけない。ハルさんは真面目にやっているんだ。
「これが人族最新の変装道具。抵抗感はありましたが付けてみると意外と…」
アーサーも恐る恐る手を伸ばすが
「アーサーちゃん待って、ほんと待って」
一度深呼吸する。
「ふぅ…。ニチレンさん、多分これ結構目立つしかなりの確率で捕まりそうな気がするんだけど…」
「そうですか?楽しそうでいいと思ったんですが…」
やばい、この子常識人かと思ってたけどものすごくずれてる。
「頭を覆えるフード持ってるからそれで行くよ。許可証も持ってるし、拘束されても助けてくれるでしょ?」
「そうですか…もちろん捕まっても助けますが」
その顔はとても残念そうだった。
検問にて
「問題ない、通れ」
3人全員クリア、思ったより余裕だったね。
そう思っていると
「なんだこの道具は!貴様、変装か!?ひっとらえろ!」
「えぇ!?なんで~?」
ニチレンさんが捕まっていた。
あの人ほんとに大丈夫なんだろうか…。
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