第14話決死の覚悟
すでにケンタウロスは魔境から出ているので先回りの転移はできない。
でも普段の業務で地形を知り尽くしている私は走りに補正魔法をかければ人族の町に着く前に追いつける。
アンデット集団たちも正規ルートからこちらに向かってきている。
「見つけた」
ここからならギリギリ届く!
「ブラックホール!」
持っている魔力の半分近くを使い黒い球を生成。
ケンタウロスを対象に無理やりこちらに引き寄せる。
「なんだ!?」
「また邪魔者だ!ぶっ潰せ!」
そう言って黒い球にぶつかったりもがいたりしてひびが入るが砕けない。
「仲間から補正魔術もかけてもらった渾身の重力魔法だからね。簡単には砕けないよ。インナーシールド!」
そう叫んで。ケンタウロスの外側に円形のシールドをはり、どんどんと狭めて圧力をかけていく。
「内側はブラックホール、外側はすぐそこにシールド、力は入れにくいはず」
そうやって補強に補強を重ねて魔力が尽きかけるころ、アンデット集団が到着する。
「魔王様!交代します!」
そう言って数十人がかりで補強する。
「助かったよ!」
そう言って魔力を回復させる魔法石やポーションをどんどん飲んでいく。
「回復に時間がかかるけど…。魔力が切れそうになったら言って!交代する!」
そうして何度も何度も交代して時間を稼ぐ。
3時間が経過したころ全員の魔力が切れる。
「う…もうこんな…。どいて!生命エネルギーを使う!」
「お待ちを!まずは私たちが!」
その一瞬、魔力供給の集中が切れる。
たった一瞬、それがいけなかったのだろう。
「うおおおぉぉぉぉ!!!」
1頭のケンタウロスがシールドを破る。
そしてそれが連鎖するようにどんどんと壊し出てくる。
ブラックホールも壊されもう意味を成していないようだ。
「やってくれたなぁ!お返しの時間だ!!」
みんなが稼いでくれた時間…こんなあっさり…。
「もう…だめ…」
そして
「ダメではないぞ!!」
「…えっ?」
見るとズメイやミドリがそこにいた。
全力で走ってきたようで魔王城にいて私に忠誠を誓うと宣言したほとんどの魔族が息を切らしながらこちらへ向かってきた。
「早すぎますよ二人とも!」
「みん…な…?」
「間に合ってよかった」
ミドリさんがこちらを向き笑う。
「遅くなり申し訳ございません、かき集めるのに時間がかかりました。ハルやハーピィ達はアーサーの手伝いで作業が終わり次第すぐに合流すると思います」
「どうして…?」
「…?おかしなことを言いますねェ。魔王様をお守りするのは我々の使命かと」
「待ってみんな!かなわないよ!もうここで死んだら生き返ることなんてできない!私がどうにかするから!」
「…インビジブル、シールド」
そうミドリさんが唱えると私の体が透明化していき周りにシールドがはられるのを感じる。
「え…?」
「魔王様は我々の希望です。あなたが死んだらどうやって魔族を率いていくのですか?」
「待って…あなたたちがいなくなったらどうしていいか…!」
「ここは任せてあなたは未来へつないでいくんだ」
「待って…」
「やれやれ人使いの荒い、もう魔力もないというのに」
「だめ…」
「魔王、いや、ただ一人の魔族エルクルよ!これからのこと、頼んだぞ!」
そうしてケンタウロスの群れへと走っていく。
「だめえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
次回最終回
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