いつか、「さよなら」だけど

夜月

第1話   君に出会ってしまった。

私は、小さい頃事故に遭ってから右目が見えなくなった。そのせいで、クラスのみんなにいじめられている。そんな私が、なぜ君に出会ってしまったのだろう。


初めて会ったのは、いつだったっけ。って何週間か前の話だから覚えてるけど。

「おーい厨二病」

いつものように、眼帯のことでクラスの男子に笑われている時のことだった。

先生も止めないし、逆にクラス全体私のことを笑いものにしていた。

授業も終わり、靴箱に手を伸ばしたら。

「いたっ」

私の靴にたくさんの画鋲が刺さっていて、靴箱には油性マーカーで死ねと書かれていた。

私は、悔しさと悲しさでいっぱいで遂に、靴も履かずに走り出してしまった。

気づいて足を止めた先は人通りが少ない小さな公園だった。

少しボロいベンチに座り、右目を隠していた眼帯を投げ捨てた。

(こんなの付けてても、意味ないし。)

「これ、君の?」

一瞬、空耳かと思った。だって公園に人なんていなかったから。

驚いて振り返ると、そこには眼帯を握った男子高生がいた。

「う、うん。ありがとう。」

「名前は?」

「え?」

そんないきなり聞くのか。と少し引いた。

「ごめん、あまりにも綺麗だったから。」

その言葉に顔から火が出そうなほど、熱くなった。

(何私。こんな男に口説かれて!)

「大丈夫?顔赤いけど…」

「大丈夫、です。」

そんなぎこちない会話を重ねてようやく、彼から名乗った。

「僕は、川野龍。よろしくね。君は?」

「平山杏です。名前聞くの、名乗ってからの方がいいですよ。嫌われますし。」

すると彼は、少し焦ったように言った。

「え⁉︎じゃあ僕のこと嫌い?」

「そうとは言ってませんけど…」

そう答えたら彼は、良かった〜と目を細めた。

「じゃあ、僕と友達になって。」

いきなりそんな事を言い出したから、変な声が出てしまった。

「良い?杏ちゃん」

「私でよければ、よろしくお願いします」

「かしこまりすぎ。タメ口でいいから、よろしくね。」

それから私と龍は友達になった。私の灰色だった人生は一気に輝き始めたんだ。

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