「旧神ヒロインが僕の全行動を求愛と誤解した結果、世界が滅亡の危機に瀕している件」〜彼女の愛情表現=世界の終わり〜
NOFKI&NOFU
第01章 セッションに降臨
第01話 終焉を回避せしゲーマーの最後の切り札
世界線破滅まで、残り一秒。
「頼む、通ってくれ……! 最後のロール、【銀の鍵】の真の力解放! 世界線の改変を試みる!」
卓を囲む友人たちが次々と正気を失い、
ここは彼の自宅の一室。だが、繰り広げられているのは、邪神の召喚により世界が滅亡するというクトゥルフ神話TRPGのセッションだ。理人は熱狂的なプレイヤーの中でも異端児だった。
人呼んで「セッション・クラッシャー」。感情的なロールプレイをせず、徹底したデータ主義で、どんな「詰み」状況からも『最善手』を見つけ出すことに異常な執着を持っていた。
「どんなに非人道的な選択だろうと、|バッドエンド(世界滅亡)だけは絶対回避だ。これは、俺にとって『ゲームをクリアする』という至上命題だ!」
・悪夢のシナリオ:「
理人が挑んでいたのは、難易度・狂気度ともに最高峰のシナリオ「
「理人、マジかよ……探索者の生命と引き換えに、【銀の鍵】の【
KPの友人が震える声で尋ねる。理人の探索者(PC)は
「構わない。ここで滅亡ルートに入るくらいなら、俺にとっては探索者消滅なんて『安い代償』だ」
理人の思考は常に冷静だった。この【銀の鍵】は、彼が神話資料を読み漁った結果、「デウス・エクス・マキナ(強制的なセッション終了)」、つまり世界を救うための最終手段だと確信していたアイテムだ。
「俺は、俺の知っている『時を超え、異次元を
理人は声を張り上げた。探索者の命と引き換えに、「バッドエンドの回避」を選択した、彼の一世一代の「ロールプレイ」だった。
・覚醒:教師、銀の鍵、そして旧神の末裔
理人の熱を帯びたロールプレイが、部屋の空気を震わせた。
次の瞬間、卓上を照らしていたランプが、宇宙の真理を凝縮したかのような激しい
「……っ、うそだろ? ロールに、コズミック・ホラーなエフェクトが……!?」
現実とフィクションの境界が、アメーバのように歪むのを感じながら、理人の意識はブラックアウトした。彼の「世界の滅亡を回避する」という強い意思と、ゲーム内で解放した「銀の鍵」の力が、現実の世界の鍵の所有者として彼を選び、転生の引き金となったのだ。
どれほどの時間が経っただろうか。
光が消えた後、耳鳴りと紙の匂いがした。理人が目を開けると……蛍光灯の下? 机が整然と並ぶ。教室だ。
(俺の体じゃねぇ。身長が数センチ高い。背広の布地が肌に張り付く感覚。これは他人の体だ)
見慣れない自分の体は、清潔なスーツに身を包んでいた。彼は、教壇に立っていた。
(SANチェック失敗!……いや、SAN値は減ってない。これは、俺の体じゃねぇ。それに、ここは……学校?)
【銀の鍵】の力? クトゥルフ神話の知識? 待て待て、俺はさっきまで探索者の消滅を選んだはずだ。何がどうなって高校の教壇だ? このセッションのKP、難易度を狂わせすぎだろ!
「どうやら、セッションをクリアする代わりに、『最も難易度の高い続編(新シナリオ)』に強制参戦させられたようだ……。しかも、職業は高校教師、か。このクソゲーをクリアして、元の世界に戻る!」
彼は、内心で絶叫しながらも、プロの教師らしく冷静なポーカーフェイスを保った。
と、その時。
ガラッと教室の扉が開き、担任教師に連れられた一人の転校生が入ってきた。
理人の視界に、ゲームのUIのような半透明のウィンドウが自動的に表示される。これは「銀の鍵」のサブ能力だ。
>>>【対象:ノア=エル(転校生&ヒロイン)】
>>>正体:太古の旧神の末裔(ノーデンス系譜の末裔)
>>>SANITY LOSS(正気度喪失):常時・大
>>>DANGER LVL(危険度):COSMIC
美少女という言葉では生ぬるい、超越的な美しさを
「先生……運命の人。あなた様にお会いするために、私はこの星に来たのです」
彼女の頭上に、別の警告ウィンドウが点滅した。
>>>TRUE EFFECT(真の効果):
>>>REALITY DISTORTION LVL(現実歪曲): 90%
(……詰みだ。この激ヤバNPCは、俺の転生時の行動を『求愛の信号』だと誤解しやがった。しかも、教師と生徒という逃げ場のない配置。こんな激ヤバNPCとの絡みは勘弁!)
理人の高校教師としての冷静な外面と、ゲーマーとしての内面のパニックのギャップが、ここに誕生した。
「セッションクリアを目指した結果、まさかの『続編』に強制参戦。しかも、難易度は『ヒロインの純粋な愛が世界を滅亡させる』という、『詰みルート』確定……」
彼の静かな絶叫とともに、コズミック・ホラーなラブコメが幕を開けた。
「待て! それは読むな! 世界の法則が歪む!」
第02話、「先生、私との愛の誓いを交わすのですね?」
にご期待ください。
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