小説をちまちま書いている私による、私とあなたのための創作論

第5話一人称、それとも三人称？

　小説を書いていくうえで大切な要素はたくさんあります。

　どういうテーマで書くのか。キャラクターはどんな性格がいいのか。構成をどうするべきか……etc。

　人にもよりますが、ちゃんと土台を固めてから書きたい人はこの辺りは考えるのではないでしょうか？

　その中で今回取り上げるのは『どのような視点で物語が展開されるか』です。

　皆さんは『一人称』と『三人称』と言うものを聞いたことがあると思います。

　一人称は『語り手を中心に展開される』物語で、三人称は『その場面全体を俯瞰してみる』物語であると考えています。

　まず、一人称で書かれた小説は別名：私小説と呼ばれているように、主に語り手が心情を訴えかけるのが得意な小説になっています。

　それにより、一つの場面で登場する人物の見方によって、同じような構成でも印象ががらりと変わることが多くなります。

　なぜそうなるのでしょうか？

　それは、一人称で書いているとどうしても語り手から見たものしか分からないからです。

　例えば、ある人物から見て『目の前にいる彼女の顔が赤くなっている』と書かれていたとしましょう。その人物は『彼女が照れている』と解釈し、物語はその想定で進みます。

　しかし、『顔が赤くなる』のは『照れている』以外の理由になることもありますよね？

　その彼女は『怒っている』のかもしれないし、『熱がある』のかもしれません。

　このように人物によって一つの事象でも抱く印象は大きく変わります。そのようなギャップも一人称小説の面白いところとも言えます。

　一方、三人称はどうでしょうか？

　例えるのならその場面を写真で切り取って、その要素要素を描写した物語です。いわゆる『神の視点』という奴です。

　このような特性があることから三人称小説は一人称では偏っていた情報を平等に分担することができます。

　一人称ではその特定の視点周りの情報しか脳に入ってきません。しかし、三人称だと、わざわざ別の視点にしなくても入ってくるようになります。

　逆に一人称ではできていた感情の描写が荒くなってしまうという欠点もあります。

　結論としてどちらがいいと決定づけることは私にはできません。それはどのような点を重視して書きたいのかによるからです。

　最後に、一人称で書く場合でも三人称で書く場合でも、なにを重視して書きたいのかに注意して書きましょう。

　キャラに感情移入をしてほしいのか。その場面を楽しんでもらいたいのか。また、ジャンルごとによっても大きく異なります。

　本格的に執筆していくうえでこの部分はしっかり決めていきましょう。

　皆さま、良き作家ライフを～♪