第3話使い分けられていますか?『体言止め』と『倒置法』

 前回の創作論では『倒置法』について学びました。

 文の順序を入れ替えることによって、印象深くなる。使いこなせば、より魅力的な文章が書けるでしょう。


 しかし、こう思った人もいるのではないかと私は考えております。

 

 「『体言止め』って、『倒置法』と似ていないか?」と。


 今回は『体言止め』について解説するのと共に、『倒置法』との違いについて比較します。


♦体言止めとは

 その字が示しているように、文末を体言――つまり、名詞および名詞句で終わらせる技法のことです。


例:からっと晴れている空。

  そよ風に揺れている花々。


 このように、体言止めを使い表現をすると、簡潔であれどインパクトのある表現が可能になります。


 故に、体言止めは詩や短歌などリズムや余韻を大切にする文芸に使われることが多いです。


 また、短く強調した表現をすることに優れているので、キャッチコピーに使われています。


 体言止めは短く・簡潔にインパクトを残すことにとても優れていますが、文章が曖昧になってしまうという欠点があります。


悪い例:赤く染まった、夕焼け空。泣きそうに笑う、君と僕。無慈悲に鳴り響く、踏切の音。


 なんか、ラップをしている人みたいになってしまいましたね。

 この文章の強調したい部分のみ体言止めを使って修正してみましょう。


例:夕焼けの空は赤く染まった。泣きそうに笑う、君と僕。2人の間には無慈悲にも踏切の音が鳴り響いた。


 どうでしょうか?

 先ほどの文章ではよく分からなかった「踏切の音」の情景が分かりやすくなっていませんか?


♦『体言止め』と『倒置法』

 この二つの表現技法には『述語で終わらない』と言う共通点があります。


 『体言止め』は名詞。『倒置法』は普通の文章の順序を逆転にしているので、助詞が付いた形で終わります。


 それでは、この二つの効果を比較してみましょう。

 (上手く違いを比較できる自信がなかったのでchatGPTに聞いてみました)


☆体言止め

 目的:余韻・印象・強調を出す。詩的にする。

 効果:余韻・静けさ・印象の強化。


☆倒置法

 目的:驚き・強調・リズムの変化・感情の強調を出す。

 効果:強調・感情の高まり・ドラマチックな効果。


 どちらも『強調する』と言う共通点がありますね。

 しかし、強調することで与えられる印象ががらりと変わっています。


 体言止めは『静止したもの』を、倒置法は『動きのあるもの』を強調するのに優れていることになります。



 いかがでしたでしょうか?

 このように、似たような表現技法でも得意とする場所は大きく異なっています。

 

 ぜひ、この性質を利用しながらより魅力的な小説を書いていきましょう。

 

 もちろん、多用に気を付けて、料理のスパイスみたいに使いこなしましょう。



 コメント、意見、大歓迎です。至らないところがあると思いますので容赦なく突っ込んでいってください。


 

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