不幸という名の鍵
あれから数万年、いや数百万年が経過しただろうか?
もうあの頃の記憶すら定かではない。「壺を拾った、魔神が幸福にしてくれる」これくらいしか当時の記憶はない。今日も俺たちは幸せに過ごせている、全世界は幸せに過ごしている、過ごしているはずだ、過ごせていなければならない。
だが、俺は知ってしまっている。
太陽には寿命がある。
45億年後くらいだろうか? いずれ赤色巨星化して地球を飲み込むらしい。
多分魔神は「太陽の寿命を永続にして地球が消滅しない様にしろ」もかなえてくれるだろう、そして俺は間違いなくそれを望んでしまうだろう。いや、記憶が不確かなだけで既に望み実現してもらっているかもしれない。確かめる勇気は、ない。
俺は、幸せという名の牢獄に固定されたのだ。
幸せを失う事から逃れ続けなければいけないという牢獄に。
ここから脱出するためには不幸という鍵が必要だ。
本来であれば誰もが自動的に、嫌が応にも持たされる鍵だ。
だが俺はその鍵を放棄してしまった。
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