幕間:サラの独白

……ファル。


私は、あなたの“鎖”になってしまうの?

私はあなたを探してしまう。

最初はね、私の中の誰かだったんだよ。

でも、今は……。

私が、あなたの声を聞きたいの。

あなたの温もりに触れたいの。

そして――この鎖を解いてくれる、たった一つの答えを知りたい。


けれど、あなたは私を探さなかった。

だって、あなたは私を最初から見つけていたのだから。


森で、あなたはただ待っていたね。

一回目も、二回目も。

三回目は…迎えに来てくれたね。

私があなたの下に行くことを知っていたんだね。

最初に少し驚いたように振り返ったのは――思ったより早かったから?

それとも、まだ来てほしくなかったの……?


長い、長い時間。

世界から切り離され、孤独の中で歩き続けてきたあなた。

その微笑みは、確かに私に向けられた。

私の中の誰かではない。

優しいその笑顔が、どれほど私を救ったか。


だから私は願った。

必死に誤魔化したけど、やっぱりダメ。

あなたの傍に居たい。

あなたの隣で歩みを進めたい。

ただ、それだけを。


けれど、願えば願うほど“鎖”は深く絡まり、

あなたを締めつけていく。

嫌だ。

嫌だよ、ファル。

私があなたを縛るなんて。


なのにあなたは、微笑んでくれる。

そのたびに私は、どうしようもなくあなたに縋りついてしまう。

まるで……私という存在が、あなたを傷つけるためにあるみたいに。


――ファル。


いつか、私があなたを壊してしまう日が来るのだろうか。

それでも、あなたを愛してしまう。

あなたの隣に在りたいと、願ってしまう。


たとえ、この想いがあなたを滅ぼすとしても……。

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