episode4

結局家に帰ってしまった俺は5通目の手紙を読み愕然とする。

「あの場所に?独りで、ってタクシーだよな?まさか歩いてないよな…」

同封されていた小石は何を意味するのか考えたくもない。捨てようとしたが、他の手紙同様どうすることも出来ずに置いてある。

独りで行かせてしまった……手紙に書かれてることは本音なんだろうか。あんな場所にたった独りでいて、本当に幸せ何て思うんだろうか。

俺は彼女を最後まで理解できなかった。手紙の言葉が真実か裏があるかも分からないくらい。楽しいことが好きで、どこか奇抜で、行動力は俺なんかよりずっと凄くて。鈍臭い俺が劣等感だらけの言葉を吐いても、いつも支えて好きでいてくれて…。

「そろそろ連絡くらいしようかな」

気持ちが揺らぐ。いっそのこと直接来て何か言ってくれたら良いのに。

「振ったのは俺だった」

都合の良いことを考えている自分に苛立つ。彼女の手紙は俺を一切責めてない。別れる時もそうだった。

俺はLINEのブロックを解除して、彼女にメッセージを送った。


『元気?』


彼女から返事は来なかった。既読も着かない。



──8日目


これ、やっと見つけたの!

ほんとにほんとにすごーく探したんだよ?やっとあなたに渡せるから嬉しくてたまらない。

まだ持ってないよね?持ってたら残念だなぁ。でも家と職場の往復だし、休みはコンビニかスーパー行くだけだから持ってないはず!


彼女からプレゼントが贈られてきた。



──9日目


……てから……のいて………く………。


ほぼ読めない1文が送られてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る