「4話 – 歌う兵器」
ピ―― ピ―― ピ――
簡素な部屋の中で、今日も変わらず目覚ましのベルが鳴り響いた。
ジンは重たい瞼をゆっくりと持ち上げる。
壁には飾りも写真もなく、ハンガーすら掛かっていない。
まるで「誰かが住んでいる部屋」ではなく、ただの一時的な宿泊所のようだった。
ベッド脇の引き出しは空っぽで、その上には白いキューブと目覚まし時計がひとつだけ。
ジンは手を伸ばし、金属製のボタンを押して音を止めた。
「カチリ」と乾いた音が鳴り、一瞬だけ静寂が訪れる。
「……また、同じ一日が始まるのか。」
彼は小さく呟き、ベッドから体を起こした。
時計の針は09:00を指している。
同じ時間。
同じアラーム。
同じ起床。
――あるいは、昨日の夢の延長に過ぎないのかもしれない。
♪
ベッド脇のラックには、DECGから支給されたパイロットスーツが規則正しく掛けられていた。
着替えながら、ジンはふと動きを止める。
ポケットを探っても何も出てこない。
メモ帳も、ペンも、小さな玩具すらも。
自分という存在を証明するものは――何ひとつ無かった。
「……俺に残されたのは、この目覚まし時計だけか。」
その事実が、奇妙なほど胸を締め付けた。
冷たい鉄の時計だけが、夢と現実の境界を測る唯一の証のように思えた。
♪
灰色の廊下を進むジンの足音は、無機質な壁に反響して乾いたリズムを刻む。
今日も同じ通路、同じ人工灯、同じ無表情な壁。
ただ一つ違うのは――今日には「呼び出し」という目的があることだった。
「9486番、ジン。召集命令。」
壁面スピーカーが冷徹に告げる。
ジンは短く頷き、答えた。
「……了解。」
♪
ストネン惑星の上空。
濃い黒雲が渦巻く成層圏に、巨大なステージが浮かんでいた。
本来なら戦闘機が交錯するべき空域。
だが今そこに広がっているのは、鉄骨で組み上げられた“空中コンサート・プラットフォーム”だった。
光を反射する鋼の骨組み、宙に浮かぶ数十のキューブスクリーン。
観客席は存在せず、その代わりに軍用ドローンと無数の兵器が周囲を取り囲んでいた。
今日の観客は――軍隊、そして戦場そのものだった。
♪
「転送回路リンク完了、ノイズ補正済みだゲコ。」
ステージ中央に、小さな猫のホログラムが現れる。
やわらかい輪郭を放ちながらも、瞳は冷たく機械的に輝いていた。
耳がピクリと光ると同時に、周囲の増幅器が一斉に稼働する。
――ジェイコア。
モスナインのマネージャーであり、DECG音響転送システムの中枢そのもの。
言葉の語尾に「ゲコ」という蛙鳴きを混ぜる、不思議に愛嬌を帯びた存在。
「干渉周波数12.4テラヘルツ、同期完了だゲコ。
ルビルビ、シャフィナ、準備はいいゲコ?」
ステージ両脇のゲートが開き、二人の影が姿を現す。
ルビルビ――赤の照明を浴び、煌めく衣装を纏って腕を掲げる。
シャフィナ――青の光に包まれ、無表情のまま、一糸乱れぬ足取りで歩み出る。
二人の背に光の翼が広がり、スクリーンに名前が閃光のように刻まれた。
観客の代わりに、兵士たちが一斉に歓声を上げる。
それは「歓喜」というより「軍事的合図」に近い熱狂だった。
上空で待機するジンの機体のコックピットから、その光景が映し出される。
「……これが戦場、だと?」
HUDには《文化鎮圧作戦 / 公開コンサート》と表示されていた。
しかしどう見ても、軍事行動ではなくアイドルショー。
胸の奥に、説明のつかない違和感が広がっていく。
ジェイコアが再び叫ぶ。
「通信回路、転送レベル第一段階開放だゲコ。
《Crimson Parade》開始だゲコ!」
轟音のようなベースと共に、赤い光が爆ぜた。
ルビルビの声が空を裂き、響き渡る。
「絹の上をwalking、揺らがぬ完璧なmanikin――」
すぐさま、シャフィナの冷徹な歌声が重なる。
「鏡の向こうにいるのはit’s me、無言で踊る私 dancing Queen――」
ジンの指先が震えた。
ただのショーではない。
HUDが揺らぎ、波形が走る。
《Heart Sync》
一瞬だけ映し出された赤い文字。
「……なんだ、これは。」
機体が歌に反応している。
それは“演奏”ではなく“指揮”。
兵士たちの熱狂は、娯楽ではなく「統制」に近い。
ジェイコアの声が割り込む。
「敵周波数干渉率23%突破だゲコ。兵力士気上昇率17%増加だゲコ。」
可愛らしい口調とは裏腹に、冷たい数値が無慈悲に突きつけられる。
ジンの背筋に寒気が走った。
――歌が、機体を動かしている。
♪♪♪
ガラス張りの訓練室。
壁一面を覆う鏡の前で、幼い少女たちが一糸乱れぬ動作でダンスを繰り返していた。
「左足、右足、リズムを合わせろ! 息を吸え、感情は切り捨てろ!」
コーチの怒声が鋭く響く。
その中で、ひときわ速く、滑らかに動く影があった。
――ジェスパー。
彼女の動きは炎のように鋭く、瞳は熱を帯びて輝いていた。
だが鏡に映る顔は、すでに蒼白だった。
「……っ!」
呼吸を整えようとした瞬間、胸が締め付けられる。
酸素が奪われ、肺が焼けるような痛み。
膝が折れ、床に崩れ落ちる。
「ジェスパー、またか! 立て!」
コーチの怒声が飛ぶ。
――医務室。
心電図のモニターに、不規則な波形が跳ねていた。
「不整脈だ。このままでは舞台に立つのは危険だ。」
医師は冷ややかに告げる。
ジェスパーはその視線を真正面から受け止め、ただ一言を問う。
「……方法は?」
「安定化手術だ。心臓に“位相リング”を埋め込めば、鼓動を任意に固定できる。
舞台で長く持たせられる。」
少女は一瞬だけ目を閉じ――そして、微笑んだ。
「……輝けるのなら、それでいい。」
手術台。
冷たい金属のアームが胸を開き、銀色のリングが心臓に組み込まれる。
「ピ―― ピ―― ピ――」
機械音と心臓の鼓動が、ひとつに重なった。
♪♪♪
無機質で寒々しい研究所。
実験台に座る幼い少女の肌は、月明かりのように白かった。
後頭部には何十本もの電極ケーブルが突き刺さっている。
「波動偏差、抑制成功。周波数固定、完了。」
「血液サンプルは64回連続で失敗……だが今回は直接適用する。」
冷徹な研究員たちの声。
注射針が少女の腕に突き立ち、透明な液体が吸い出される。
その血液は別の実験体に注入された――が、彼らは次々と悲鳴を上げ、崩れ落ちた。
「六十四回目の実験、失敗。廃棄。」
無情な宣告。
研究員たちは顔色ひとつ変えずに頷く。
「残るは最後の方法だ。本体そのものを調律する。」
少女の胸に、冷却された金属装置が置かれた。
心電図モニターが閃光を放ち、線は一本の直線へと固定される。
「位相固定、成功。波動抑制率100%。」
ひとりの研究員が記録しながら呟く。
「……この子は、今日からN-65だ。」
その瞬間、少女は静かに目を開いた。
唇がわずかに動き、感情の欠片もない旋律が洩れる。
感情はなかった。
だが、その声は確かに“共鳴”を生んでいた。
研究員は満足げに頷き、記録に書き加える。
「感情なき響き――完璧だ。」
♪♪♪
ルビルビの心臓に埋め込まれた銀色のリングが、ライトを受けて鋭く光った。
シャピナの心電図は、一本の直線のまま冷たく固定されている。
二つの映像が重なり合った瞬間――現在の《Crimson Parade》のステージが爆発的に照らし出された。
ジンのHUDには再び赤い数値が点滅する。
[Heart Sync / 72%]
心臓が、音楽と同じ拍で鳴っている。
胸の奥が、リズムと一体化するように鼓動を刻んでいた。
ジンは息を呑み、低くつぶやく。
「……これは、ただのステージじゃない。あの二人そのものが――歌う兵器だ。」
⸻
ルビルビの声が一気に高まる。
「息をしなくてもいい、emotion―― 眩しく光ってる、魅惑のパレード!」
冷徹なシャピナの声が絡みつく。
「Poker face、震えるまつ毛の上―― 本当は揺れている、illumination――」
二つの声が交差した瞬間、HUD全体が大きく揺れた。
画面一面に紫色の波形が走る。
[Heart Sync / 42%]
「……ハート・シンク?」
ジンの声が震える。
これは単なるHUDのバグではない。
機体そのものが、歌に同調している――!
⸻
その時、耳に馴染んだ声が割り込んできた。
「伝送干渉レベル、38%突破。兵力士気上昇、29%増加だケグル。
通信混線率、臨界値に接近中だケグル。」
ジェイコアだった。
小さな猫型アバターが舞台の脇で跳ねながら、冷徹な統計を読み上げる。
可愛らしい語尾とは裏腹に、その数値は鋭く突き刺さった。
ジンの背筋に冷気が走る。
歌が兵力の通信網を侵食していた。
指令も、仲間同士の会話も、一瞬ごとに歪んでいく。
⸻
「通信が…乱れてる! ノイズがっ――」
「HUDが遅延してる!」
「心拍が異常に上がって…これは一体――」
パイロットたちの悲鳴混じりの無線が飛び交う。
ジンは奥歯を噛み締めた。
――歌が、人を揺さぶっている。
感情を煽り、機体にまで干渉している。
ルビルビは指先で空を突き、叫んだ。
「敵の周波数、全部かき消して!」
シャピナは冷ややかに報告する。
「干渉レベル、67%到達。」
すかさずジェイコアが付け加えた。
「通信網、第3回路崩壊だケグル。兵力感応度、目標値オーバーだケグル。」
ジンのHUDには新しい警告が走った。
[Heart Sync – ベータ版 / 実験モード 起動]
「……実験曲?」
ジンの目が大きく見開かれる。
これはDECGが密かにテストしていた“制御曲”。
単なる応援歌なんかじゃない――!
周囲の機体が次々と震え始めた。
何機かは制御を失い、勝手にロールしながら墜落していく。
無線には悲鳴が混じる。
「なぜ…操縦桿が効かない!」
「HUDが滅茶苦茶だ、止まれ――!」
その混乱の中、歌はさらに激しさを増していった。
ルビルビとシャピナの声が重なり、戦場は完全に音楽の波動に呑み込まれていく。
ジンのHUDにはまたも数値が点滅した。
[Heart Sync / 73%]
機体のエンジンが歌のリズムに合わせて震えている。
「……なぜ、俺の機体まで――」
だが冷徹な声が即座に切り捨てた。
「9486、任務に集中しろ。不要な解析は中止せよ。」
ジンの手が震えた。
――これはショーなんかじゃない。
歌そのものが、武器だ。
♪♪♪
赤と青の光が交差し、虚空そのものを震わせた。
ルビルビとシャピナの声が絡み合うと、戦場は完全に音楽のリズムに飲み込まれていく。
ジンは荒く息をつきながらHUDを睨んだ。
しかし、画面はすでに制御不能に近かった。
[Heart Sync / 82%]
[干渉レベル:危険臨界値突破]
紫の波形が四方に炸裂し、HUD全体を覆っていく。
心臓の鼓動がリズムと完全に一致し、まるで胸の奥にもう一つの鼓が鳴り響いているようだった。
ジンは無意識に手を胸に当てた。
――なぜ、俺の心臓まで歌に同調しているんだ……!?
⸻
兵士たちは次々に混乱へと陥っていった。
「操縦桿が応答しない!」
「推力制御が勝手に動いてる!」
「HUDに歌詞が…字幕みたいに流れてるぞ――」
実際、いくつかの機体の画面には歌詞がデータパケットのように走っていた。
“…目を閉じても鮮明な lie lie lie…”
ジンの呼吸が止まった。
歌詞そのものが命令のようにシステムを侵食している。
通信網を超えて、直接〈身体〉に刻み込むように。
⸻
「ワスプ。」
冷徹な声が再び響いた。
「任務に集中しろ。不要な干渉は中止せよ。」
ジンは必死に抗議した。
「……俺のHUDに異常が――」
「報告は不要だ。これはDECGが管理している範囲だ。」
冷酷に切り捨てられる一言。
ジンは戦慄した。
――彼らは知っている。歌が兵器であることを。
⸻
HUDの波形が暴走し、紫の閃光が視界を裂いた。
ジンは反射的に目を閉じた。
だが閉じてもなお、旋律は鼓膜の奥で鳴り響いていた。
“…俺は本物だ、Do you believe in the truth?…”
心臓が潰れそうな既視感。
その瞬間、機体エンジンが爆発的に震え、音楽のリズムと完全に一致した。
まるで機械ではなく、生き物のように鼓動していた。
「ワスプ、位置逸脱中。警告する。」
指令が再び飛ぶ。
だがジンは応じなかった。
代わりに操縦桿を握り締め、震える身体を押さえつけた。
HUDの上に、歌と共に新たなメッセージが重なった。
[Heart Sync – 実験モード 起動]
[お前は、聞きすぎている]
ジンの指先が氷のように冷えた。
「……誰かが……俺を見ている……?」
⸻
ジェイコアの声が割り込む。
「Heart Sync 波形、目標値超過だケグル。
ワスプ、感応率過剰上昇。
司令部、制御権を一部制限すべきだケグル。」
瞬間、ジンの操縦桿が鉛のように重くなった。
「……っ!」
奥歯を食いしばる。
ジェイコアが自分の操縦までも干渉している――!
しかし歌は止まらなかった。
ルビルビの声が炸裂する。
「Twilight―― 星を踏みしめたつま先に、Stardustのように砕け散る emotion!」
冷たいシャピナの声が重なる。
「Crimson Parade―― 完璧な錯覚、気づいているでしょう?」
リズムが戦場を飲み込み、兵士たちの精神はさらに高揚していった。
だがジンだけが、その波動の奥にある〈不協和音〉を聞き取っていた。
「……これは……武器だ。応援歌なんかじゃない。」
⸻
歓声と波動が最高潮に達したその時。
偵察ドローンが緊急報告を送信した。
[敵勢力接近 / 座標:ストネン防衛軍 残存部隊]
ジンはHUDを睨みつけた。
暗い地平線の彼方から、数十機の防衛軍機体が闇を切り裂いて迫ってくる。
その砲口には、すでに火が灯っていた。
⸻
「コンサートは終わりだケグル。」
ジェイコアの声が低く響いた。
「防衛軍、交戦範囲に突入。送信終了の準備に入るケグル。」
ルビルビは赤いスポットライトの中で、妖艶に微笑んだ。
「ショーは終わりよ。」
その一言と共に、舞台の照明が落ち、戦場は暗闇に沈んだ。
だが彼女の声だけが鋭く響いた。
「ここからが本当――。」
⸻
シャピナは迷いなく頷いた。
「送信停止。戦術モードに移行。」
直後、ステージに敷かれていた音響送信装置が一斉に沈黙した。
代わりに格納ゲートが開き、銀色の翼が静かに姿を現す。
シャピナ専用のVF――冷徹な曲線と鋭利なシルエットを持つ機体が、無音のまま離陸した。
ルビルビもまた、背後の赤光を背負いながら機体へと歩み入った。
操縦桿を握った瞬間、HUDが真紅に点滅する。
ジンの喉が詰まった。
「……アイドルが、直接戦場に……?」
視界にルビルビの機体が映り込む。
紅玉のように輝く外装。
しなやかな曲線と、獰猛な兵装を併せ持つその姿――
アイドルでありながら、兵器パイロットでもあるという二重性。
その矛盾が、ジンの胸を激しく揺さぶった。
⸻
防衛軍の砲撃が始まった。
炎の弾道が空を裂く。
だがルビルビは微笑み、声を張り上げた。
「完璧な錯覚―― もう気づいたでしょ?」
その瞬間、彼女の機体は炎を突き抜け、一直線に突撃した。
歌と戦闘がひとつに融合する光景。
シャピナも後に続いた。
冷酷な声が無線を貫いた。
「交戦開始。すべての標的を無力化する。」
ジンのHUDが再び揺れる。
歌は途切れた。
だが波動の余韻は、なおも鼓膜を震わせていた。
彼は心の中で呟く。
「……歌と戦闘が重なっている。これは、ただのショーじゃない。」
♪♪♪
激烈だった交戦は、長くは続かなかった。
ストネン防衛軍の残存部隊は、DECGの圧倒的な火力とモスナインの文化波動の前に、抗う術もなく沈黙していった。
赤い炎が消え、戦場には再び静寂が訪れた。
残ったのは、砕け散った機体の残骸と、灰のように舞う火花だけだった。
ジンは息を荒げながらHUDを見つめた。
[任務完了 / 送信ログ終了]
[被害報告:なし / 成果:100%]
冷たい数字と統計だけが、虚しく画面を埋めていた。
だが――彼の胸の奥には、今もなお波動の余韻が震えていた。
あの旋律、あの鼓動。
数字では計れない「何か」が、確かに残っている。
その時、司令部の冷徹なメッセージが響いた。
「今回の作戦は成功裏に終わった。
モスナインの〈文化波動〉は敵を無力化し、我々の兵を鼓舞した。
これは――人類における文化的勝利である。」
同時に、報道用ドローンが撮影した映像が巨大なキューブスクリーンに映し出される。
ルビルビが赤い光の下で笑顔を振りまき、手を振る姿。
シャピナが無表情のまま、冷たく戦場を見据える姿。
そして、それに喝采を送る兵士たちの映像。
それはまるで――戦場そのものが舞台に変換されたかのような演出だった。
ジンは小さく笑った。
冷笑だった。
「これが……勝利だと?
俺が見たのは……人を絡め取る〈歌〉だ。」
♪♪♪
宿舎に戻ったジンは、重い溜息をつきながらパイロットスーツを脱ぎ捨てた。
汗に濡れたインナーが肌に張り付き、鼓動がまだ完全には収まっていなかった。
彼は独り言のように呟いた。
「……歌で人を動かせるのなら、
それはもう――武器だろ。」
その声は低かったが、確かな確信を帯びていた。
背後から影が忍び寄る。
無言のまま、壁に背を預ける長身の男。
――サイレンス。
彼はしばしジンを見つめると、口を開いた。
「お前は……聞きすぎているな。」
その言葉は単なる忠告ではなかった。
鋭い刃のような〈警告〉だった。
ジンは答えなかった。
ただ、視線を夜の窓の外へと向けた。
ニュコアの夜空は、依然として赤い砂塵で霞んでいた。
しかしその奥深くで、彼だけが感じ取れる〈別の波動〉が脈打っていた。
“…俺は本物だ。Do you believe in the truth?…”
ジンは拳を握りしめた。
データには残らなくとも、感覚は決して消えない。
――それこそが、本当の〈真実〉なのだ。
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