それでも生きなければいけない

しらざかな

それでも生きなければいけない

この小説は、実際にあった話をもとに書かれた小説である。





_私は、もう限界。


だけど、別になんでもいい。

彼女を待っているから。

彼女がいるから。


彼女が、自分を救ってくれたから。




でも、そんな彼女にはもう出会えない。

どれだけ謝りたくても、どれだけ話しかけたくても。


彼女と私の通信手段が消えたように、想いも消えかけていく。



“忘れたくないね”

“絶対将来会おうね”


“どうか、死なないで。”


彼女は、限界になった私に、なんて声をかけてくれたっけ。


優しさに視界が滲んだほどなのに。

絶対に恩を返そう。今度は、私が救う番にって。

決めた。確かにあの時、決めた。


1年間の空白が、世界を汚した。

私をめちゃくちゃにした。


どうして、価値は薄れていくの。

どうして、彼女は目の前から消え去ったの。

どうして、こんなに辛いのに、生きていかなくちゃいけないの。


夢の中でしか会えないなんて、どうかしてる。

やっと、やっと出会えた。彼女に話しかけられた。これで一件落着。


と思ったところで現実に引き戻される。

もう、ずっと夢でもいいんじゃない。


楽だから。


朝起きるのが苦しいって、

学校のみんなについていくのが精一杯だって、

人をわざとじゃなくても傷付けて怒られるのって、


全部夢だったらありえないから。


現実を生きるのが辛いから。

むしろ、辛いなんて言葉が比じゃないくらい、『地獄』よりも下で、底。

どん底。絶望の淵だって、それを越すくらいの苦しさ。


でも、

それでも、

彼女に縋る。

今、目の前に現れてくれるわけもない。


そんなこと、知っているし、むしろ誰も知ってくれない。



いいの。彼女がいれば。

だから、今日も精一杯息をする。

息が詰まれば、それこそ本当に彼女に会えなくなるから。


だから、現実がどれほど悲惨でも、目の前から光が消えても。

生きる。

生きるしかない。


ただひたすらに。


どうか、どうか。神様。

私は、彼女に会いたい。


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