最終回 新しい幸せ

翌日。木曜日。

俺の席には、もう『ぼっちの結界』はなかった。美月は、俺の隣で、いつものように輝く笑顔でノエルちゃんの話題を振っている。しかし、そこにはもう、『陽キャがぼっちに話しかけている』という違和感はない。

俺たちの関係は、『推し活パートナー』という名の秘密の扉から始まり、今は『恋人』という名の二人だけの世界を築き始めている。

昼休み、田中が俺たちの机にやってきた。

「おい、篠宮、相沢。お前ら、マジで付き合い始めたのかよ!?」

美月は俺の腕に寄り添い、田中を振り返った。

「うん!田中くん、ごめんね。『推し活パートナー』はもう解散!これからは、『恋人』だから」

田中は驚き、そして呆れたように頭を掻いた。

「はぁ…まぁいいや。なら、俺は『ノエルちゃんガチ勢』として、お前らの『推し活』を監視させてもらう!篠宮!相沢を泣かせでもしたら、俺が許さねぇからな!」

田中はそう言って去っていった。彼は、失恋したというより、新たな推し活の目的を見つけたかのような顔をしていた。

俺は美月を見つめ、そっと耳元で囁いた。

「なぁ、美月」

「なぁに、悠太?」

初めて下の名前で呼ばれ、俺の心臓は再び高鳴る。

「俺の『推し』は、ノエルちゃんから、『美月』に変わった。お前を、俺は一生推し続けるよ」

美月は顔を真っ赤にして、俺の胸に頭を押し付けた。

「ばかぁ…。でも、ありがとう」

二人は笑った。

「推し活」という名の、最も強固な共通の秘密と、「孤独」という名の共感から始まった俺たちの物語。俺の『パーフェクト・ボッチ』という名の世界は、相沢美月という名の最強チートによって、『二人の世界』へと、幸せに再構築されたのだった。

【完】

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俺の完璧な「ぼっち生活」を、クラス一の陽キャ美少女が「推し活」でぶっ壊してくる件 @amakaze28

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